9-5. 先進国と発展途上国の人口問題を考える(人口論について)

近年、地球的問題群という視点が話題になっています。これは、国境をこえて人々の生活を脅かす諸問題のことで、新型コロナウィルス感染症が地球的問題群の話題を一気に盛り上げさせています。ただし、地球的問題群には食料問題など、感染症以外にも多くの問題を抱えています。そんななかで、最近注目が集まっているのが人口の理論についてです。

 

【地球的問題群と人口(前提)】

そもそもの大前提として、世界の人口は減っているのでしょうか?増えているのでしょうか?

 

現在、世界の人口は世界全体の平均で約1%ずつ増えていると言われています。ところが、多くの先進国は人口減少に悩んでいます。

なぜ、世界全体の人口は増えているのにもかかわらず、先進国の人口は減少が続くのでしょうか。

一方で、発展途上国は人口についてどのような状況になっているのでしょうか。

「先進国」と「発展途上国」のそれぞれで人口について考えます。

 

【先進国の人口問題】

先進国は、少子高齢化が進行しています。特に日本の場合は、急激な人口減少と急激な高齢化が進んでおり、他の国が経験していないほどの速度で進行していると言われています。そこで、前提を考えます。

 

少子高齢化はなにが問題なのでしょうか。

 

よく、少子高齢化は問題だと言われるのですが、本当に問題なのでしょうか。例えば、高齢化が進んでいるということは、65歳以上人口の割合が増えているということですが、これは平均寿命が延び、元気な高齢者が増加しているというある意味幸福なことであるという見方もできるでしょう。

ということは、少子高齢化の本当の問題は「高齢化」ではなく「少子化」に注目したときの「少子化の急激な進行」という点にあるのですが、少子化が進むことはなにが問題なのでしょうか。

 

大きな問題の1つは、労働力不足です。働き手が減ってしまい、お金を稼ぐということができないと様々なところで不都合が生じます。

例えば、働き手が減ってしまうと企業の発展に影響を及ぼします。企業も必要な労働者数を確保できず、ギリギリで回し続けると企業の効率の良いさらなる発展が難しくなるでしょう。場合によっては、人員確保ができないことを理由に企業が衰退して倒産という事態も考えられます。

また、少子化が進行すると自治体維持も難しくなるでしょう。その地域の人口が減少することで自治体の収入も少なくなり、充実した公的サービスの提供も難しくなります。

この公的サービスを社会保障とも呼びますが、社会保障の維持も難しくなります。年金制度の維持が難しいことなどはよく話題になりますが、本当に年金制度の破綻が時間の問題のようにもなりつつあります。

 

では、どうすれば少子化問題を解決することができるのでしょうか。

 

少子高齢化以外もそうですが、なにかの問題の解決を考える際には、なぜその問題が発生するのか、を考える必要があります。

少子化の要因は多くありますが、要因の一例として、非婚化晩婚化の進展、女性の社会進出などだと言われます。これは、女性が自立して様々な選択ができるようになり、あえて結婚する必要がなかったり、自身のキャリアを考えて結婚を後回しにしたりするというポジティブな見方ができます。

しかし、逆をかえせば、女性が社会進出して稼いでいかないといけないくらい経済面で苦しかったり、お金がないので結婚や出産を諦めたりしているというネガティブな見方もできます。

つまり、女性が出産をポジティブにとらえられるような解決策が必要というわけですね。

少子化の解決の視点の1つに合計特殊出生率の上昇があげられます。これは、「1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の平均」ですが、この数字が約2.1を下回ると人口減少に向かっていくと言われています。現在の日本は、2020年で1.34でした。急激に人口減少が進んでいることが数字からも分かります。

はたして、合計特殊出生率を上昇させるために必要な解決策はなんなのでしょうか。

 

【発展途上国の人口問題】

発展途上国は人口が爆発的に増えています。そのため、発展途上国の人口の増え方を人口爆発と表現します。

 

では、人口爆発の問題点はなんなのでしょうか。

先進国は人口減少に悩んでいるのであれば、人口爆発はむしろ喜ばしいことなのではないのでしょうか。

 

人口爆発の問題点の1つに、雇用の問題があげられます。人口爆発で人口が増えても雇用がないと収入を得ることが難しくなります。そのため、発展途上国では人口が増えることによって貧困も増加していると言われています。

また、食料や水不足などの問題も指摘されています。当然人口増加に食料や水が追いつかないと、生活が苦しくなることは容易に想像できます。なお、現在は可容人口(地球が収容可能な人口の数)を超え、地球が限界を迎えるのではないか、という指摘もあります。さらに、マルサスという人は『人口論』という本で人口増加はいずれ食料の生産量を追い越すことを考え、指摘しています。(食料は等差数列的に増え、人口は等比数列的に増えることを指摘しています。)

 

では、人口爆発はどうやって解決していくのがよいのでしょうか。

 

人口爆発の要因の例として、貧困や教育不足などがあげられることがあります。そのため、貧困解決の手助けとして、国連人口基金の活用が考えられます。また、収入を増やすという意味でも、労働環境の確保や教育水準の向上などが検討できるでしょう。さらに、教育不足を解決できるよう、教育の機会を確保することも考えられます。

なお、近年は「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」の考え方が出てくるようになりました。日本語で性と生殖に関する健康と権利と呼ばれます。リプロダクティブは再生産という意味ですが、転じて性と生殖という意味で取られます。また、ヘルスは健康、ライツは権利なので、このような日本語が出てきました。要は、女性の考え方の推奨もすすめてきいきましょう。という話ですね。

 

このように、少子高齢化や人口爆発について様々な解決策が考えられますが、もう1つの解決策の話題として「偏り」が注目されています。

人口は先進国で減って困っており、発展途上国で増えて困っています。つまり、人口が特定の地域に偏っているわけですね。だとしたら、人口の偏りを解消することで、先進国も発展途上国も人口問題がある程度落ち着くことが考えられそうです。

では、人口の偏りを解消して、日本の少子高齢化という人口問題を解決するためにも、日本は移民を受け入れるべきでしょうか。

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