7-4. 世界の平和と安全のために、国際連合は何をしてくれているのか(国際連合と安全保障)

日本は平和で安全だと思いますか。

 

この問いには様々な回答が期待できそうですが、日本よりも平和な国もあれば、日本より平和ではない国もあるわけです。

ちなみに、オーストラリアに本部がある国際的なシンクタンクの経済平和研究所というところが発表している世界平和指数ランキングによると、日本は世界で9番目に平和だそうです。

 

でも、本当はランキングに関係なく、すべての国が1位であるべきではないでしょうか。

 

そこで、世界レベルでの平和と安全を目指す議論を考えましょう。

つまり、「集団安全保障という仕組みでも平和維持が難しい状況でどうやって平和を維持するのか」について、政府のような役割を担っている機関という意味で国際連合の視点から考えます。

 

ただし、簡単に議論の結論が出るようなものではないので、議論について3つの論点を考えます。

 

【国連憲章による紛争の解決】

国際連合には、国連憲章というものがあります。
憲章とは参加国に影響する国際連合の憲法のようなものだと思ってください。(憲章は複数に影響を、憲法は1つの国に影響を、という違いです。)

 

国連憲章には、国連の目的として「国際の平和と安全の維持」を掲げています。

これは、武力行使(軍事の使用)を禁止することだと思ってください。そこで、論点の1つめです。

 

[論点①]
国連憲章の第6章には「紛争の平和的解決」が明記されています。
世界での紛争の発生時に平和的に解決するのは当然の発想ですね。

ところが、第7章には「強制措置」が定められています。これは、侵略した国に対して制裁を行う、という意味なのですが第6章で平和的にと言っておきながら第7章では強制措置を定めています。

しかも、目的は平和と安全の維持だったはずです。

はたして、第6章と第7章はどちらが現在の世界にとって大事なのでしょうか。

 

この質問に対する現状の答えとしては、6章半活動だとされています。

つまり、結局はどっちも大事ということです。
この6章半活動を具現化したものを国連平和維持活動(PKO)と呼びます。そこで組織されるのが国連平和維持軍などです。

 

そして、国連憲章にはもう1つの論点があります。

 

国連憲章には、個別的自衛権について触れられており、防衛のための武力行使を認めるとされています。

また、集団的自衛権にも触れられており、共同で武力を認めるとされています。

では、そもそも、個別的自衛権と集団的自衛権とはなんなのでしょうか。

 

[論点②]
仮に、日本、A、Xという3つの国があるとしましょう。XがAを攻撃した場合、自国を守るためにAはXに攻撃します。
この自国を防衛するために他国へ攻撃する武力行使を認めること個別的自衛権と呼びます。

また、日本とAが協力関係にあったとします。その時に同じようにXがAを攻撃した場合、協力関係である日本がXから攻められたわけではないのにXを攻撃すること集団的自衛権と呼びます。
ここでのポイントは協力関係にあるだけで自分が攻められているわけではない、という点です。

はたして、日本は集団的自衛権を行使してもよいのでしょうか。

 

そもそも、日本が集団的自衛権を行使する場面があり得るのか?という視点も考えられますが、もし、Aという国がAmerica(アメリカ)だったらどうなのでしょうか。日米安保協力における様々な動きは実際に見られています。

 

ちなみに、集団的自衛権は、安全保障理事会が必要な措置を取るまでの間に認められるとされています。

そこで、安全保障理事会のしくみについて分析します。

 

【安全保障理事会のしくみ】

安全保障理事会には5つの常任理事国(米英仏ロ中)と10の非常任理事国(任期2年)の合計15カ国が関わります。

安全保障理事会では、その名の通り「安全保障」について議論します。議論は手続き事項と実質事項の2つあり、両方とも15カ国中9カ国以上の賛成が必要というのが前提です。

 

手続き事項としては、安全保障の手続き的な内容を議論します。

実質事項では、安全保障に関わる重大なテーマを議論します。例えば、

「国際連合としての軍を組織することに賛成か、反対か」

というテーマについて、どのように考えるでしょうか。

 

このテーマは実際に議論され、15カ国中14カ国が賛成し、ロシアだけが反対しました。
その結果、「国際連合の軍を組織すべきか」は反対となりました。なぜでしょう。

先ほどの前提でいけば、賛成が9カ国以上なので安全保障理事会として賛成になるはずです。ところが結果は反対になりました。これが論点の3つめです。

 

[論点③]
安全保障理事会には大国一致の原則というものがあり、常任理事国が1カ国でも反対するとその案は反対になるというルールがあります。
これを拒否権と呼び、5常任理事国は拒否権を持っているというのがポイントです。

そのため、「平和維持のためにこのような取り組みをしていこう!」と安全保障理事会で考えても常任理事国が反対すると取り組みが消えるということです。

そうすると、常任理事国は拒否権を本当に何度も発動させるのか、という1つの疑問が生じます。

拒否権を発動させると議論が停滞し、本当は維持できた平和を守れなくなる可能性だって考えられます。

それくらい拒否権は大きな権利だと考えられるのですが、拒否権は現在までで300回以上発動しています。

そのため、連続で拒否権を発動させてしまうと、安全保障理事会の機能も停止させてしまうことになります。

はたして、拒否権というしくみは本当に必要なのでしょうか。

 

現状、拒否権の連続使用で安全保障理事会の機能が停止した場合の対策として、「平和のための結集」決議というものがあります。
これは、安全保障理事会ではなく、総会が集まって緊急特別総会を開催することで話を進めていこうとするものです。

 

このように、平和のための話し合い1つとっても、なかなか難しい現状があります。そこで、改めて考えましょう。

 

安全(世界平和)を保障するために必要な考え方はなんなのでしょうか。

 

【※参考:PKOについて】

PKOについては組織・日本の経過・参加5原則をおさえる必要があります。

 

〈組織〉

組織は大きく3つありますが、組織へ参加する人員は加盟国が自発的に提供することが前提となっています。

1つめはPKF(平和維持軍)です。中立で非軍事が前提の組織で、日本は参加凍結していましたが、同時多発テロをきっかけに参加凍結を解除しています。

2つめは停戦監視団です。国連加盟国の非武装の軍人で構成されています。

3つめは選挙監視団です。選挙の監視を行っています。

 

〈日本の経過〉

日本は1991年の湾岸戦争終了後にペルシャ湾へ自衛隊を派遣しています。
これが自衛隊初の海外派遣ですが、これはPKOとしての派遣ではありません。

湾岸戦争の翌年の1992年にPKO協力法が誕生して、合法的な自衛隊の海外派遣が可能になったことで、最初にカンボジアに派遣されました。

 

つまり、「湾岸戦争 → ペルシャ湾 → PKO協力法 → カンボジア」の順で展開されたということになります。

 

〈参加5原則〉

PKOが参加するためには、5つの原則があります。
①は停戦を合意すること、
②は受け入れを同意すること、
③はPKOが中立・公平であること、
④は①~③が崩れた場合は撤収すること、
⑤は武器の使用を最小限にすることの5つです。

なお、①~③は世界共通の原則ですが、④と⑤は日本独自の原則だとされています。

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