国際経済はグローバル化が加速していることが前提となっています。その結果、貿易や金融において「日本国内」だけでなく「世界全体」を視野に入れて考える必要が出てきました。
そこで、ここでは「貿易」について戦後の動きを分析します。
【戦後国際経済の貿易の動き】
現在の世界はグローバル化の加速に伴って貿易も加速化しています。なぜ、そんなに世界は貿易を促進するのでしょうか。
貿易を促進することで単純に経済が活性化し、世界全体の富が増えることが考えられます。また、世界全体に市場が広がることで儲けも増加するようになります。そして、競争が世界全体で発生するようになるため、安く多様な商品の獲得も可能になります。さらに、世界各国の交流が増えることによって新技術や文化が誕生し、それらが急速に拡散していくことが考えられます。ここで重要なのは「貿易なしの世界を考えるのは難しい」ということです。そのため、世界全体でも貿易の促進が考えられました。
最初の促進の動きがラウンド交渉です。1960年代に最初のラウンド交渉であるケネディ=ラウンドという貿易に関する話し合いが行なわれました。ここでは関税について議論されています。
その後、貿易をさらに加速させるために2度目の交渉として東京=ラウンドが行なわれました。このときに非関税障壁について話し合いをしています。ただし、話し合いをしたにもかかわらず、1970年代は戦後の固定為替相場制の崩壊に加えて、貿易が減速する展開となりました。なぜ、そのようなことが発生するのでしょうか。
大きな要因の1つは、「石油危機」です。各国が石油危機で経済的に混乱するようになると、保護主義的政策を取るようになりました。つまり、「世界のマイナス要因が各国に影響を与える」ことになるわけです。そう考えると、各国が協力して貿易を促進することは難しいのではないか?という疑問が生じてきました。
はたして、世界全体が何かの枠組みで1つにまとまることは可能なのでしょうか。
もし何かの枠組みでつながって、各国が協調するようになると世界平和が実現できるのではないか、という発想が出てきました。具体的にどのように協調していくことが必要となっていくのでしょうか。
【戦後国際経済の「協調」の方向性】
現在、行われている協調の方法は「話し合いの充実」です。
例えば、サミット(主要国首脳会議)の開催や、G5(先進5カ国財務大臣・中央銀行総裁会議)の開催などがあげられます。
また、GATTと呼ばれる協定を設定し、特にラウンド交渉の3番目であるウルグアイ=ラウンドでは工業製品の輸入制限や輸出自主規制の撤廃、農産物の例外なき関税化、知的所有権についての話し合いなど、様々な成果を残しています。ただし、GATTはあくまでも協定です。そこで、具体的に貿易に関する組織を作ってより貿易を促進させていくことになり、世界は1995年にWTO(世界貿易機関)の創設に踏み切りました。GATTとWTOの違いは「機関かどうか」です。WTOは貿易に関する機関ですが、GATTはあくまでも協定であり、機関に該当しません。
なお、WTOではセーフガード(緊急輸入制限)の発動が有名です。セーフガードとは、特定の品目の輸入が急増して国内の産業に損害を与えている場合に、緊急で輸入を制限する措置のことです。日本の場合は、ネギ・シイタケ・い草(畳の原料)の3つをセーフガードの対象としました。
また、WTOでの4度目のラウンド交渉であるドーハ=ラウンドも有名です。ドーハ=ラウンドでは、南北問題という大きなテーマの話し合いが行われています。ただし、参加国が多く、話し合いがまとまらないため、話し合いの期間が長いとされています。(2011年に、この交渉が事実上の停止状態となりました。)
ラウンド交渉は「ケネディ・ラウンド(関税) → 東京・ラウンド(非関税障壁) → ウルグアイ・ラウンド(農業/工業/知的所有権) → ドーハ・ラウンド(南北問題)」という順番と内容で展開しています。
このように、話し合いを充実させても現状世界が1つにまとまることが難しい状況にあります。もし、世界が1つにまとまることが難しいとしたら、世界の国々はどの規模までならつながることができるのでしょうか。
この質問に対して、現在考えられているのが「地域ごとの協定締結」です。
【「リージョナリズム」という考え方】
地域ごとの協定の締結という発想を「リージョナリズム」と呼びます。
リージョナリズムの代表的な考え方がFTA(自由貿易協定)です。ある国とある国が「自由に貿易をしましょう!」となるので自由貿易協定ですね。この貿易の自由化はモノのみだとされます。(ちなみに、FTAはfree trade agreementの頭文字を取ったものになります。)
ただし、FTAだけでは足りなくなり、規制緩和の実施と投資ルールの確認という2つのことをするようになりました。これをEPA(経済連携協定)と呼びます。このEPAの代表例がTPP(環太平洋経済連携協定)です。(ちなみに、EPAはeconomic partnership agreementの頭文字を、TPPはtrans-pacific partnershipの頭文字を取ったものとされます。)
そして、これらのリージョナリズムが展開される中で、グローバルスタンダード(世界標準)が進むようになっていきました。では、
なぜ、グローバルスタンダード(世界標準)が進むようになったのでしょうか。
【グローバル化の波及】
グローバルスタンダードが進んだ理由として、いくつかの要因が考えられますが、大きな要因の1つは「冷戦が終結したこと」です。冷戦の終結によって、東側諸国が西側諸国に倒れていった(旧社会主義国の市場経済化)というのがポイントだとされます。また、近年は「IT革命」も大きなポイントの1つです。インターネットによって一気に世界中がつながったと言われています。では、
グローバルスタンダードが広がったことによって、どのような影響が見られるようになったのでしょうか。
グローバルスタンダードの影響の1つとして、様々な制限が撤廃されたことがあげられます。そのため、ヒト・モノ・カネ・情報を集めやすくなったと言われています。集めやすくなると、当然集められた人と集められなかった人との間で格差も広がってしまいます。近年はタックス・ヘイブン(税率が低くして企業を呼ぶ国や地域)を活用する人達も生まれ、競争がさらに激しくなっている現状もあります。
また、なにかの影響が一気に広がりやすくなるという特徴もあります。以前、エマージング・マーケット(新興国などで経済成長している市場)への投機的資金が流入するということがありました。ただし、今後も本当に成長するか不安になり、タイのバーツという通貨が暴落するという展開が発生しました。これを、アジア通貨危機と呼びます。
さらに、2000年代にはサブプライムローンを背景にリーマンショックということも起きました。つまり、グローバル化によって、世界経済の不況が簡単に各国へ影響を及ぼすようになってきています。
このように、グローバル化の影響は必ずと言っていいほど波及するようになっています。そのため、様々な物事を考えていくにあたり、グローバル化を前提にする必要が出てきたと言われています。「世界金融危機」や「新型コロナウィルス」など、様々な影響の想定が必要な時代になってきています。
これだけグローバル化が進む中で、これから日本や個人が行っていくべきこと(必要な能力など)はなんなのでしょうか