ニュースで政治の話を聞くたびに、「なんだかかたくて難しいし、自分とは関係なさそう」と感じてしまうことがあるかもしれません。
でも、日本国憲法では、国民に「政治に参加する権利=参政権」として保障しています。(いわゆる「国家への自由」の参政権です。)
では、具体的に国民はどんな場面で、どんな方法で政治に参加できるのでしょうか。
政治に参加する方法としては選挙が一般的ですが、それ以外に参加する方法はなにが考えられるのでしょうか。
このページでは、
・「代表を選ぶ」間接民主制の参政権
・「自分で決める」直接民主制の参政権(国民審査・憲法改正国民投票・住民投票)
を整理しながら、かたくて難しそうに見える政治に、どのように参加できるのかを具体的に確認します。
【間接民主制の参政権】
参政権は間接民主的なもの(物事を選ぶ代表者を決める)と直接民主的なもの(国民や住民が直接物事を決める)に分かれます。
間接民主的なものは1つだけで、「公務員の選定」です。(選挙で代表を選んだり、必要なら入れ替えたりできる仕組みです。)
ここでいう公務員は市役所や県庁などで働く公務員ではありません。
ここでいう公務員は地方議会の議員などだと思って下さい。あの人達も公務員の一種として扱われます。議員の選定は、間接民主的な側面が強いですね。
【直接民主制の参政権 : 国民審査・憲法改正国民投票・地方特別法の住民投票】
一方、直接民主的なものは大きく3つに分かれます。
① 最高裁判所裁判官の国民審査―「クビにしたい裁判官に×」
1つめは、「最高裁判所裁判官の国民審査」です。
国民が衆議院議員選挙の時にクビにしたい裁判官がいた場合に投票用紙に×をつけ、過半数の×が集まったら最高裁判所の裁判官をクビにできるシステムです。
ところが、実際に投票すると分かりますが、どのような基準で最高裁判所の裁判官に×をつけてクビにしたいかなんて正直分かりません。
そのため、現在の日本では「国民審査での罷免例はなし」というのがポイントです。
② 憲法改正の国民投票 ― 憲法96条と国民投票法
2つめは、「憲法改正の国民投票」です。
国民の過半数の賛成で憲法の一部が改正されますが、憲法改正は歴史上1度だけで「大日本帝国憲法→日本国憲法へ」というタイミングでしか発生していません。
(言い換えると、「日本国憲法は1947年の施行以来、一度も改正されたことがない」ということになります。)
なお、憲法改正の国民投票には、国民投票法という法律が制定され、18歳以上の日本国民に憲法改正の投票権が与えられることとなりました。
③ 地方特別法の住民投票 ― その地域だけに適用される法律を決める
3つめは、「地方特別法の住民投票」です。
その地方だけに適用される特別な法律を地方特別法と呼びますが、その地方特別法を作るかどうか検討する場合に住民投票が行われ、過半数の賛成で適用されます。
以前、大阪府を大阪都に変えよう!ということで投票が行われたことがありました。大阪都構想などは、住民投票の代表的な例だとされています。
これら3つの共通点は「国民が直接決めないと困るモノ」という点です。
つまり、「間接民主的では困るモノを直接民主的にしている」と思って下さい。
【※参考:住民投票のポイント】根拠と法的拘束力に気をつけて理解する
住民投票は、細かくて理解しづらいですが、どのようなポイントに注目すればよいのでしょうか。
それは、「根拠」と「法的拘束力」という2つのポイントに注目することが重要となります。
住民投票を行う際の前提 - 「根拠」が必要
住民投票については、前提とそれぞれのパターンを確認する必要があります。
前提は、「住民投票には必ず根拠が必要」という点です。
住民投票の実施は、「とりあえず実施しましょう!」みたいな軽い感じで実施することができません。必ず法的な根拠が必要となります。
その際の根拠は「憲法」「法律」「条例」のどれかとなります。
ここで重要になるのが、
住民投票が憲法と法律に基づく場合は、法的拘束力が発生するが、
住民投票が条例に基づく場合は、法的拘束力が発生しない、という点です。
つまり、「憲法・法律に基づく法的拘束力が発生する住民投票」と「条例に基づく法的拘束力が発生しない住民投票」という2つのパターンに分けて理解する必要があります。
法的拘束力が「ある」住民投票/「ない」住民投票の違い
なお、法的拘束力が発生する住民投票の内容は3つのみで、憲法の場合は「その地域にのみの地方特別法をあてはめる場合」が該当し、法律の場合は「市町村合併の是非」「リコールの判断」の2つが該当するとされています。
さらに、条例に基づく場合の住民投票ということは、必ず事前にその地域独自で住民投票条例を制定しておく必要があります。
(ちなみに、条例に基づく住民投票は、その自治体の条例しだいで、外国人や18歳未満も投票を可能としているケースがあります。実際に、18歳未満が投票している自治体もあります。)