政治ってなに?「物事の優先順位を決めること」から分かる民主政治のしくみ(民主政治の成立)【1-1】

ニュースでは「政治家が〜した」「国会で〜が決まった」などとよく聞きますが、

「そもそも政治とは何か?」
と聞かれると、一言で説明するのは意外と難しいものです。

 

この記事では、

・政治を「物事の優先順位を決めること」という視点から整理し、
・そこから民主政治がどう生まれたのか(王権神授説から社会契約説への流れと市民革命)
・政治の理解に必要な民主政治の基本ルール

までを、入試や教養にもつながる形でやさしく解説します。

 

そこで、「政治とはなにか」を考えるために、まずは「あなたが“町の議員”だったらどうするか」考えてみます。

 

 

【政治とは何か?―「物事の優先順位を決めること」という見方】

生活に困る5人、あなたなら誰から助けますか?

あなたはある町の議員で、生活に困っている人達に補助金という形でお金を出すことを考えるとします。
ただし、町の予算には限りがあるため、全員を完璧に満足させるだけの補助金を出すことができません。
そこで、もし以下の5人に補助金を渡すとしたら、誰から順番に補助金を渡しますか?

 

①病気で仕事ができない
②身体障害で仕事ができない
③地震で家がなくなった
④父親が亡くなり、生活ができなくなった
⑤高齢者で年金がなくて生活できない

 

この5人を助けるために補助金を配るとしたら、町の議員として誰を優先しますか?
また、なぜその人への補助金を最優先としたのでしょうか。

 

限りがあるから優先順位が必要になる(=政治の本質)

このような町の議員と補助金の例もそうですが、物事には限りがあるので、全てを満足に満たすことはできず、どうしても優先順位をつけることが必要になります。

この「物事の優先順位を決めること」を政治と呼びます。

国会議員や地方議会の議員は、物事の優先順位を決めてお金を分配するために予算を検討したり、物事の優先順位を明確にするために法律や条例を検討していたりするわけです。

 

政治と言うと国会中継のようなマジメな雰囲気や、かたい印象を持つかもしれませんが、「物事の優先順位を決める」という1点に注目すれば、印象が全然違うことが分かります。

では、あらゆる物事の優先順位について、実際は誰がどうやって決めるのでしょうか。その答えを歴史から確認します。

▶ 先に現代の民主政治のしくみを確認したい方は、こちら(政治を考える時の3つの大前提は?(国民主権・議会制民主主義・多数決と権力分立・選挙の歴史))をご覧下さい。

〈※参考:「支配」という考え方とウェーバーの3類型〉

政治(物事の優先順位を決めること)を行うためには、どうしても「支配」が必要になります。
支配とは、簡単に言うと「強制力」のことです。
つまり、なにかしらの形で強制力を発揮しないと、物事の優先順位を決めても実際にうまく物事が進められないことが考えられます。
そこで、マックスウェーバーという人が、「支配」について3つの類型があると考えました。
それが、「伝統的支配/カリスマ的支配/合法的支配」の3つです。伝統的支配とは、血統による権威や古くからの慣習で人々を支配すること、

カリスマ的支配
とは、超人的な能力や突出して優れた資質などで人々の心をとらえて支配すること、

合法的支配
とは、合法的な手続きによって決められた法や規則によって人々を支配することをそれぞれ指します。

「どれが正しいか」ということよりも、「このような3つの類型の考え方がある」ということが重要です。

 

 

【王様が優先順位をすべて決めていた時代─絶対王政と王権神授説】

絶対王政―優先順位を“王が決める政治”

政治の基本的な考え方は、「物事の優先順位をどうやって決めるか?」です。

では、あらゆる物事の優先順位は具体的にどうやって決めればいいのでしょうか。

 

国家が物事の優先順位を決めるということを例に考えると、昔は「物事の優先順位は全て国の王様に決めてもらえばいい」という発想でした。

この考え方に基づくシステムを絶対的に様が権力を持つ治という意味で絶対王政と呼びます。

 

王権神授説―なぜ王の決定が“絶対”だったのか

ただ、ここで一つ疑問が残ります。
「なぜ市民は、王の決定に逆らえなかったのでしょうか。」

その理由を説明する、絶対王政の根拠となったのが王権神授説という考え方です。
これは、「力をからかったという」です。

それくらい王様の権力が強いと考えられていたため、物事の優先順位を王様が決める状態になっていました。

 

 

【市民が政治の主役へ─市民革命と社会契約説の考え方】

市民革命で「主役が王から市民へ」移った

しかし、当然と言えば当然ですが、その国に住んでいる市民の中には王様の優先順位の決め方に納得できない人もでてきます。

そこで、王様に決めさせるのではなく、「物事の優先順位を国家の中で生活している市民で決めよう」という考え方が出てきました。
この考え方を実現させるためには、根本的に絶対王政をなくす必要があります。
つまり、王様を倒す必要があるわけです。

 

そこで、市民が立ち上がり、実際に市民が協力して王様を倒す動きになりました。

この動きを市民革命と呼びます。

代表的な市民革命が「イギリスのピューリタン革命名誉革命」「アメリカの独立革命」「フランスのフランス革命」などです。

 

これらの革命を経て、王様ではなく市民が実際に物事の優先順位を決めることになりました。
つまり、政治の主役が市民へ移ったわけです。

▶ 市民革命の3国をまとめた比較を先に確認したい方はこちら(市民革命で何が獲得されたのか?イギリス・アメリカ・フランスの人権保障を一気に整理(各国の人権保障))をご覧下さい。

 

社会契約説―話し合いで優先順位を決める発想

その際、今度は市民がどうやって物事を決めるべきか、ということが当然問題になります。

そこで誕生したのが社会契約説という考え方です。

社会契約説とは、簡単に言うと話し合いのことです。
結局のところ、「市民がみんなで話し合って物事の優先順位を決めよう」ということになりました。

 

つまり、物事の優先順位の決め方が「王様に決めてもらう王権神授説」から「市民で話し合って決める社会契約説」に変わっていったというわけです。

▶ 話し合い(社会契約説)の具体的な考え方を先に理解したい方はこちら( 「話し合い」で本当に意見はまとまるのか?ホッブズ・ロック・ルソーの社会契約説を一気に整理)をご覧下さい。

 

 

【話し合いで政治を行うための3つのルール(基本的人権・国民主権・権力分立)】

ところで、話し合いで優先順位を決めるとした場合、本当に話し合いで物事の優先順位は決まるのでしょうか。

みんなで話し合ってよりよい物事の優先順位を導くためには、どのようなルールが必要なのでしょうか。

話し合いがうまく機能するためには、“守るべき前提”が必要です。
近代民主政治は、その前提として三つの原理を用意しました。

簡単に言うと、話し合いの際に必要なルールとしては、大きく3つあげられるというわけです。

 

①基本的人権の尊重――暴力で決めないための土台

1つめは、誰かの人権を侵害しないことです。この考え方を「基本的人権の尊重」と呼びます。

当然ですが、暴力などをOKとしてしまい、お互いの基本的人権を尊重しない状況が生まれてしまうと、暴力的手段を活用した人が物事の優先順位を決めることになり、話し合いにならなくなってしまいます。

 

②国民主権――話し合いの主役は国民

2つめは、全員がちゃんと話し合いに参加することです。

一部の人しか積極的に話し合いに参加しないということになると、充実した話し合いになりません。
つまり、参加者全員が主役になることで話し合いがより充実します。
ちなみに、国家で考えた場合、国の話し合いの参加者は国民です。そのため、国民全員が主役になる必要があります。これを「国民主権」と呼びます。

 

③権力分立――「おまかせ政治」を防ぐ仕組み

3つめは、誰か1人に話し合いを任せないことです。

話し合いを誰かに任せると、その任された人が決めることになってしまい、結局独裁のように話し合っていないのと同じ状態になってしまいます。
だからこそ、それぞれが役割を持って話し合いに参加することが重要になるわけです。
国レベルでは、権力を立法行政司法に分け、お互いが抑制と均衡を図ることで、誰か1人に任せる状況を防いでいます。
この考え方を「権力分立」と呼びます。

 

「基本的人権の尊重・国民主権・権力分立」という、これら3つのルールを活用することで、話し合いがおかしな方向に進むことを防ぐというわけです。

つまり民主政治とは、
「国民が話し合いで優先順位を決める政治」であり、
その話し合いを支える土台がこの三つの原理だと言えます。

 

はたして、物事の優先順位を決めるための優れた話し合いとは、どのようなものなのでしょうか。

 

 

【あわせて読みたい】
タイトルとURLをコピーしました