9-4. 世界各地で起きている争いに苦しめられている人を救うには(地域紛争と難民問題)

近年、テロなど様々な要因で地域紛争が増加していると言われています。もし、日本がテロに巻き込まれたら、日本の人々はどのような行動を取ると考えられるでしょうか。

テロに巻き込まれた場合、一部の人は日本にいたら危ないから「他国へ逃げる」という選択を取ることが考えられます。このように、他国へ逃げる選択をした人々難民と呼びます。

このような難民は、なぜ発生するのでしょうか。

 

【難民問題と解決の視点】

難民とは、何かしらの要因によって他国へ逃げる人々を指します。では、なぜ難民が発生するのでしょうか。

難民の発生要因は様々ですが、代表的な要因はテロ地域紛争です。特に、地域紛争の要因の例としては、自民族中心主義があげられます。自民族中心主義とは、「自分の民族が良く、他の民族が良くない」と差別化を図ることで、自民族中心主義の考え方になると他の民族を攻撃してしまうということが考えられます。ちなみに、「民族が問題なら、民族同士でもっと話し合いをするべきだ!」という発想があるかもしれません。確かに、話し合いで解決できれば最高です。ただ、現状話し合いでの解決が難しいので、暴力的手段が用いられているわけです。つまり、当事者どうしの話し合いを充実させるだけでは、地域紛争や難民の解決としては弱いのも事実です。

 

では、難民を減らすためにできることはなんなのでしょうか。

 

難民を減らすための対策の1つに、他国が難民を受け入れることで安全を確保するということが考えられます。ただし、すべての難民を世界各国が全て受け入れていくのは現実的ではありません。そこで、難民をもう少し具体的にして考えます。

以下の(1)~(3)の難民が日本に逃げてきた場合、日本は受け入れてあげるべきでしょうか。

(1)政治的要因で迫害されそうなアフガニスタンの人
(2)お金がなくて困っているソマリアの人
(3)宗教を理由に難民になったルワンダの人

これらの難民に対して、なにができるでしょうか。

 

現状の対策例として、難民の地位に関する条約(難民条約)があります。この条約のポイントは2つです。1つは、「迫害の恐れがあって保護が難しい難民を、追放したり送還したりすることは禁止する」という原則です。この原則をノンルフールマンの原則と呼びます。もう1つは、難民条約の対象として「経済難民を含まない」という点です。人種・宗教・政治的要因による難民は受け入れるので、(1)と(3)の難民は受け入れますが、(2)は経済難民なので難民の対象となりません。

ちなみに、日本は1981年に難民条約に加入し、それに伴って出入国管理及び難民認定法という法律を整備しましたが、難民の受け入れに消極的だと言われています。

 

他の対策例として、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の活動の充実があげられます。ちなみに、UNHCRの昔の代表は、緒方貞子さんという日本の女性でした。

また、「人間の安全保障」という視点を持つことも重要だとされています。つまり、一人ひとりの人間の安全保障という視点から対処する考え方を持ちましょう、という話ですね。また、エスノセントリズム(自文化中心主義)をやめて、文化相対主義や多文化主義を受け入れていくことによるマイノリティの許容という視点も大切でしょう。

 

このように、難民問題の対策を検討していますが、そもそも、テロや地域紛争などが発生しなければ難民問題は発生しないとも考えられます。

では、実際に世界ではどのような地域紛争があるのでしょうか。

 

【各地域の地域紛争と現状】

各地域紛争の紛争を確認します。ここでは、
・パレスチナ問題
・アラブの春
・北アイルランド紛争
・クルド人問題
・ルワンダ内戦
・チェチェン紛争
・カシミール紛争
・東ティモール問題
・ウクライナ問題
・中台問題
を確認します。

 

〈パレスチナ問題〉

パレスチナという、まだ国になれていないアラブ人の地域がありました。アラブ人は将来的にパレスチナという国家になりたいと考えました。しかし、国連がイスラエルとパレスチナの両方の建国を提案したことで、ユダヤ人が国連の分割案を受け入れて、イスラエルを建国しました。このイスラエル建国に対して、アラブ人が反対したため、ユダヤ人とアラブ人との間で戦争が起きました。この戦争を第1次中東戦争と呼び、現在のパレスチナ問題にまでつながっています。よって、パレスチナ問題は「ユダヤ(イスラエル)vsアラブ(パレスチナ)のイメージ」で考えましょう。

なお、アラブ人はPLO(パレスチナ解放機構)という組織を作り、イスラエルに対抗するようになりました。その結果、パレスチナ暫定自治協定が締結され、イスラエルの内部にパレスチナ人の居住する地域を作りました。(その地域がガザ地区ヨルダン川西岸という2か所でした。)

さらに、中東戦争は複数回行われ、第4次中東戦争の時はアラブ人がイスラエル派の国々に石油を販売しないことで、世界全体の石油価格の上昇が見られ、日本も大きく影響を受けました。この出来事を石油危機と呼びます。このように、パレスチナという地域で長期間の争いが続いています。

こんな複雑な問題を「当事者同士で話し合いましょう!」ではやはり解決できないのかもしれません。

 

〈アラブの春〉

アラブの国々で民主化が進む革命が連鎖的に起きました。チュニジアではジャスミン革命と呼ばれる民主化革命が、エジプトではムバラク政権が崩壊する民主化革命が起きるなど、大きな動きが出てきました。この動きは、当時のTwitter(現在のX)などのSNSが革命に大きな影響を及ぼしたと言われています。

 

〈北アイルランド紛争〉

アイルランドという国の北部がイギリスによって分離され、北アイルランドという地域が誕生しました。この北アイルランドには、宗教の派閥で少数派のカトリック系と多数派のプロテスタント系がいました。カトリック系はアイルランドへの帰属を希望し、プロテスタント系はイギリスへの帰属を希望しました。つまり、カトリック系とプロテスタント系による、北アイルランドの帰属に関する争いを北アイルランド紛争と呼びます。

 

〈クルド人問題〉

トルコ、イラク、イランなどに分断された国家なき民族クルド人と呼びます。このクルド人が独立して新国家を目指そうとしている問題をクルド人問題と呼びます。

 

〈ルワンダ内戦〉

ルワンダにツチ族フツ族という2つの民族があり、民族どうして紛争を起こしています。

 

〈チェチェン紛争〉

チェチェン共和国ロシアから独立しようとして、チェチェン共和国とロシアが争いました。なお、チェチェン共和国は1993年にロシアから独立しています。

 

〈カシミール紛争〉

カシミール地方というエリアを欲しがっている国が2つありました。それが、インドとパキスタンです。そのため、カシミール地方の取り合いとしてインドVSパキスタンの争いが発生しました。

 

〈東ティモール問題〉

インドネシアの一部に東ティモールという地域がありました。この地域がインドネシアから独立したいためにインドネシアと争ったという問題です。結果的に、2002年に東ティモールはインドネシアから独立しています。

 

〈ウクライナ問題〉

ウクライナという国があります。位置はヨーロッパとロシアの間なのですが、このウクライナがヨーロッパとロシアのどちらにつくかでモメました。なお、2024年現在は、ロシアがウクライナに侵攻するという出来事も起きています。

 

〈中台問題〉

中国と台湾の関係で、両者の主張がぶつかりあっています。

台湾は、「中国と台湾は、お互いに特殊な関係である」として「2つの中国論」を展開しています。

一方中国は、「台湾は中国の一部である」として「1つの中国論」を展開しています。なお、中国は一国二制度(1つの国に「社会主義+資本主義」の両方がある状態)で中国と台湾を1つに統一しているとしています。

 

【地域紛争のおとしどころ】

地域紛争は、簡単に解決するものではありませんが、解決の可能性として以下のような方法例が考えられます。

まずは、相談や調整を第三者が行うことです。民族が紛争の理由だとした場合、相手の誤解の可能性も否定できないためです。そのため、第三者が紛争を監視することも有効でしょう。

また、紛争地域の人々の支援のための資金提供なども考えられます。その際、国連が協力し、軍縮(武器の撤去)などにも踏み込むことも考えられます。

さらに、食料の確保などによって、当事者の人達に身体的精神的余裕を与えることも必要かもしれません。

 

このように、地域紛争は解決の糸口を見つけることが難しいかもしれませんが、解決に向けて考えていく必要に迫られている問題でもあるわけです。

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