2-11.【要点まとめ】 新しい人権について

【新しい人権とは・新しい人権の注目点】

憲法に明記されていない人権」を新しい人権と呼びます。

また、新しい人権については、内容-訴訟-影響の3つに注目する必要があります。

ここでは、環境権、知る権利、プライバシーの権利、自己決定権を確認します。

 

【環境権】

環境権とは「良好な環境で生活する権利」のことです。有名な判例に大阪空港公害訴訟(飛行機の夜間飛行の差し止めが認められず、環境権が新しい人権として認められなかった判例)と、国立マンション訴訟(景観の保持を理由に、マンションの高層部分のみの撤去を要求したが、認められなかった判例)などがあります。

 

【知る権利】

内容は「国や地方公共団体が保有している情報」を知る権利です。有名な判例に外務省公電漏洩事件(外務省が持っている情報をある女性の記者が違法に入手した際、知る権利を理由に無罪を主張したが女性記者が有罪となった判例)があります。

なお、知る権利に関しては、地方が情報公開条例を定めたことで注目を集めるようになり、地方の制定後に国が情報公開法を制定しました。

ポイントは、「情報公開については、国よりも地方公共団体のほうが先にルールを制定した」という点です。そして、情報公開に関して日本は、「個人が国の安全保障にかかわる情報を流すのは違法である」という特定秘密保護法を制定しました。特定秘密保護法は単純に知る権利や表現の自由の侵害の懸念があるのではないか、とも言われています。

なお、知る権利から派生したものに「アクセス権」というものがあります。これは、「マスメディアなどを通して自分の意見を表明できる権利」のことで、サンケイ新聞意見広告事件(産経新聞に自民党が「共産党批判」の広告を載せたため、共産党が抗議したが通らなかった判例)があります。

 

【プライバシーの権利】

内容は「私生活をむやみやたらに公開されない」ことと「自分についての情報を自らがコントロールする」ことの大きく2つです。判例を確認しましょう。

 

[判例①:宴のあと事件

 『宴のあと』という小説が出版されました。この小説の内容は、ある特定の政治家の私生活が題材だったため、題材にされた政治家が精神的苦痛で訴えを起こしました。

判決は、「『宴のあと』はプライバシーの侵害にあたる」として、『宴のあと』事件によって初めてプライバシーの権利が確立されました。(特定政治家に慰謝料が支払われています。)

ただし、あくまでも新しい人権なので、憲法で明文化はされていません。

 

[判例②:石に泳ぐ魚事件

 『石に泳ぐ魚』という、ある女優が題材となった小説があります。この小説を出版しようとした際に、ある女優が「小説の内容で私のプライバシーが侵害されている」として、小説の出版差し止めを要求した裁判を起こしました。

判決は、「『石に泳ぐ魚』は出版差し止めにできる」というものでした。(初の出版差し止めが認められた裁判となりました。)

 

なお、プライバシーの権利に関しては、個人情報保護法(個人情報の取り扱いについていろいろと定めた法律)が制定されました。また、通信傍受法と呼ばれる、犯罪捜査のために「当事者の同意なく」「お互いの通信の内容を把握する」法律も制定されています。

 

【個人情報と法の関係について】

日本では、1999年に「改正住民基本台帳法」が制定されました。住民基本台帳というもので11ケタの番号によって国民が管理されるようになり、国民総背番号制とも呼ばれました。(なお、2002年には住基ネットが稼働しています。)

そして、2013年に「マイナンバー法」が制定されました。今度は国民全員が12ケタの番号で管理されるようになりました。

マイナンバー制度は、メリットして、身分証の機能を果たす/コンビニで書類を受け取れる/役所のサービスを速やかに利用できる、などがあげられます。一方デメリットは、マイナンバーカードの紛失リスクがある/個人情報流出の懸念がある/有効期限が切れた場合の対応が不便である、などがあげられます。

 

【自己決定権】

内容は「生き方を個人が決める権利」です。自己決定権の充実のためにはインフォームド・コンセント(患者などに十分な情報提供をすること)が必要だとされています。

[判例:輸血拒否訴訟

 ある病気を抱えた患者がいました。この患者は、輸血をしないと治療できない状況にあったのですが、宗教上の理由から輸血を拒否しました。しかし、担当の医師は「輸血以外に救命手段がない」ことを理由に輸血を行いましたが、この医者の判断は「問題アリ」となりました。

 

新しい人権は、憲法に明記されていないこと、環境権・知る権利・プライバシーの権利・自己決定権など様々な権利が考えられていることなどが特徴とされます。

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