【議員特権について】
国会議員は、日本の予算、法律、内閣総理大臣など様々な内容を審議します。
そのため、それだけ重たい内容を議論する国会議員の人達には、いくつかの特別な権利を与えてもいいのではないか、という議論が出てきました。
①~③の特権について、国会議員に認めるべきでしょうか。
②は「議会の発言の責任をとらない」という特権です。
③は「給料が多い」という特権です。
これら3つの特権のうち、国会議員に認めてよいのはどれでしょうか。
現状、日本ではいくつかの特権を認めています。
1つめは「不逮捕特権」と言います。
先ほどの説明①に該当しますが、国会議員は国会の会期中は逮捕されません。この不逮捕特権は、国会議員の自由な活動を保障するために認められるとされます。
2つめは「発言や表決の無責任」と言います。
先ほどの説明②に該当しますが、国会議員は議会での発言について責任を取る必要がありません。発言や表決に責任を持ってしまうと活発な議論にならなくなってしまうので保障されているとされます。
3つめは「歳費給付」と言います。
(国家公務員の最高額より少ないレベルですが)給料をたくさん出すという特権です。一定程度の給与を認めることで、優秀な人に国会議員になってもらう意欲を高めようという話です。
つまり、先ほどの①~③の特権は、現状すべての国会議員に認められています。
【日本の国会の運営(委員会と本会議/政党について)】
日本の国会は、他国と違ってある特徴が存在します。
それは「本会議ではある程度議論の流れが決まっている」ということです。
本会議とは、テレビで見るような国会中継の場面です。あの話し合いを本会議と言います。
ところが、国会議員は本会議の前段階で事前の話し合いを行っています。この前段階の話し合いを委員会と呼びます。(委員会は常会と特別の2種類があります。)
つまり、国会の話し合いは委員会を経て本会議が行われる、という流れになるわけです。
なお、本会議は両議院とも公開されますが、委員会は原則として非公開とされています。
(例外は、衆議院議員の紹介で委員長の許可を得た場合ですが、通常そんな人はいないので、原則非公開です。ちなみに、委員会は「委員による自由かつ公平な立場からの審議を確保すること」を理由に非公開とされています。)
また、日本の国会は「政党中心である」という特徴が見られます。
政党とは「政権の獲得を目指す団体」のことを指します。政権が政治を動かす権利なので、政党は選挙を通じて政治を動かす権利を目指して活動していくことになります。
そして、実際に政権を担当する政党を与党と呼び、政権を担当しない政党を野党と呼びます。
ちなみに、政党に所属する議員は党議拘束を受けることになります。政党に所属する国会議員は、政党の決議に基本的には従うことになります。(政党に所属しているため、その所属が同じ考えで動くという意味では当然ともいえます。)このような、政党の決議に国会議員が拘束されることを党議拘束と呼びます。
【※参考:国会本会議運営に関するルール】
本会議については、いくつかのルールがあります。
まずは定足数です。
国会での議決に必要な最低の出席者数を定足数と呼びますが、定足数はどれくらいなのでしょうか。
現在の定足数は総議員の3分の1とされています。つまり、国会を開くためには総議員の3分の1以上の出席が絶対に必要というわけです。
(ちなみに、「総議員」と表現するのは、定足数の他に、臨時会の召集(4分の1以上)、憲法改正の発議(3分の2以上)の2つがあげられます。)
また、会期不継続の原則もあります。
もし、審議している内容について国会の会期中に議決されなかった場合、審議されている内容はどのように扱われるのでしょうか。
現状は、会期の中で議決されなかった案件は消滅することになります。
しかも、会期の中で議決されなかった案件は次の会期に審議の内容を継続させないことになっています。
そして、一時不再議の原則もあります。
議決済みの案件について、その会期中にもう一度審議することはできないという原則です。
ただし、同一会期中に再審議できないだけで、次の会期であれば議決済みの案件について審議が可能です。
【国会の審議で「過半数」以外の可決とは】
国会で審議する内容は、基本的に過半数の賛成で可決となりますが、出席議員の3分の2以上の賛成で可決となる場合が全部で4つあります。
1つめは「議員の資格争訟」です。
国会議員である資格として「被選挙権を持っている/公務員との兼職はダメ」などのルールがあるのですが、これらのルールを破っていたことが判明した場合に、その議員を資格がないとして辞めさせる裁判を起こすことができます。この時に、出席議員の3分の2以上の賛成で、その議員を辞めさせることができます。
ただし、被選挙権が無いのに立候補して当選したり、公務員と兼職して議員を続けたりすることは現実的に考えづらく、実際に資格争訟で辞職となった国会議員はいません。
2つめは「議員の除名」です。
院内で悪い行動や態度をとる国会議員について、国会議員としてふさわしいかどうかを判断します。出席議員の3分の2以上が国会議員にふさわしくないと判断した場合、議会から除名されることになります。
ただし、あくまでも院内での行動や態度に限定されます。つまり、院外の行動や態度については除名の議論になりません。
その代わり、実際に議会から除名させるのではなく、除名を勧めるという決議を出すことはできます。この場合は3分の2以上ではなく、単純に過半数で決議を出せるのですが、実際に除名させるのではなく「除名を勧めているだけ」なので、拘束力がありません。
仮に、ある国会議員に汚職事件などがあった場合は、院外で起きた出来事なので、辞職の勧告の決議にとどまることになります。
3つめは「秘密会の要求」です。
国会は公開が原則ですが、国会での会議を非公開にして行われる場合を秘密会と呼びます。これも出席議員の3分の2以上の賛成があれば、国会での会議を非公開にできるということになります。
4つめは「法律案の再可決」です。
法案について衆参で可決と否決が異なった場合、衆議院で再度話し合って可決するためには出席議員の3分の2以上の賛成が必要になります。
このように、全部で4つの出席議員の3分の2以上の賛成が必要な事例があります。
【国会の種類】
国会は全部で4種類存在します。ポイントは「話し合いの内容」と「国会の特徴」です。
1つめは通常国会です。
「来年度の予算や、必要な法律の話し合い」を行います。いわゆる、通常の内容を話し合うので通常国会です。特徴として、毎年1月のどこかで召集され、150日の会期を設けて話し合いを行うことがあげられます。
2つめは臨時国会です。
「予算や法律について臨時で必要な場合の話し合い」を行います。災害の補正予算や臨時で必要な法改正などが該当します。つまり、通常以外に行う必要がある場合に臨時国会を開催します。
特徴として、「内閣」または「いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求」で召集することがあげられます。
3つめは特別国会です。
特別国会は特別なので、1つしか話し合うことがありません。それは「内閣総理大臣の指名」です。
なお、内閣総理大臣は早めに指名する必要があるため、特徴として「総選挙から30日以内に召集する」という点があげられます。
なお、4つめとして緊急集会があげられます。
これは、衆議院解散中に参議院のみで話し合いを行う場合を指します。緊急なので、「すぐに対応が必要な場合」に限定されます。
このように、国会は様々な議論を行っています。
ただし、現在の日本には問題が山積しており、国会で行う議論は毎年どのようなテーマに焦点をあてて話し合うのか分かりません。社会保障、防衛、教育、経済などなど…よりよくしていくべき内容が多すぎるくらいです。しかも、時代の変化が加速度的に早まってきているため、国の将来予測も難しくなってきています。来年度だって、なにを話すのか不透明なくらいです。
はたして、来年の国会では、何が争点となっているのでしょうか。