今の世の中において、資本主義は結局「正解」なのでしょうか。
自由に儲けられて、競争で成長できる。……でも一方で、恐慌・格差・独占という“影”もついて回ります。
資本主義は【特徴3つ→メリット3つ→デメリット3つ→成立(歴史)】をセットで説明できると、大学入試などで役立ちます。
この記事では、資本主義をいろんな角度から確認しながら、一気に整理します。
【資本主義の特徴3つ】
経済は様々なシステムがありますが、その中でも中心となる経済システムを資本主義と呼びます。
資本主義は、現在の多くの国で採用されている経済システムの1つですが、特徴として
「① 利潤(儲け)を追求するのが自由であること」
「② 生産手段が私有化されること」
「③ 労働力を商品として扱うこと」
の3つがあげられます。
【経済システムの3種類:資本主義・社会主義・修正資本主義の前提の考え方】
経済システムは資本主義・社会主義・修正資本主義(混合経済)の3種類です。
資本主義は、政府の関わりが小さい代わりに個人の裁量が大きくなるシステムです。
一方で社会主義は、政府の関わりが大きい代わりに個人の裁量が小さくなるシステムです。
つまり、資本主義と社会主義は対立の関係にあります。
さらに、資本主義を修正して少し社会主義に近づけた形を修正資本主義(混合経済)と呼びます。簡単に言うと資本主義と社会主義の中間の位置づけです。
そして、現在の多くの国は資本主義から修正資本主義くらいの間の位置を保ちながらその国の経済を動かしています。
なぜ、そこまでして多くの国は資本主義を採用しているのでしょうか。
【なぜ多くの国が資本主義を採用するのか(資本主義のメリット3つ】
当然ですが、資本主義には大きなメリットがいくつもあるからです。特に大きなメリットは3つです。
〈メリット① 自由がやる気と創造性を生む〉
1つめは「資本主義は自由が前提である」ことです。
個人が自分の資産をどう使うか、どのように稼ぐかを自由に決定できます。つまり、資本主義は自分の努力や能力を活かして成功を目指せる環境があるというわけです。
もっと言うと、人々が自分の夢や目標に向かって挑戦することができ、その成果を享受できるため、やる気や創造性が高まることも考えられます。
〈メリット② 価格が資源配分を調整する(需要と供給)〉
2つめは「資源配分が効率的に行われる」ことです。
市場経済では、需要と供給に基づいて価格が決まり、資源が必要な場所に自然に流れます。これにより、無駄が少なくなり、社会全体の効率が高まります。
つまり、国が計画的に経済を行うよりも、消費者や企業が自分の意思で選択するほうが、より適切に資源が分配されるというわけです。
需要と供給について理解したい方はこちら(売上を増やすための「需要」と「供給」の考え方(市場経済のしくみ))をご覧ください。
〈メリット③ 競争が技術革新を促し経済成長につながる〉
3つめは「資本主義は経済成長を促進する」ことです。
個人や企業が利益を追求することで、新しい技術やサービスが生み出されます。
つまり、資本主義という個人や企業がお互いに競争する環境があることで「より良い商品やサービスを提供しよう」という意欲が生まれるため、新しいアイデアが生まれやすく、経済全体が成長し、結果的に人々の生活が向上します。
(逆に、社会主義は国が管理することで競争が生まれないため、労働意欲が停滞して国全体の経済が衰退し、独裁傾向が強まって政治が腐敗しやすいと言われています。)
このようなメリットを考えれば、資本主義のほうがよいのでは?と思うかもしれません。
しかし、資本主義には大きなデメリットもあります。
では、資本主義のデメリットはなんなのでしょうか。
【資本主義の問題点(デメリット)3つ】
資本主義のデメリットも大きく3つあげられます。
〈デメリット① 恐慌(景気の大きな落ち込み)のリスク〉
1つめは「恐慌の懸念」です。
資本主義は景気の良い・悪いが発生します。景気の良い時期が続けばよいですが、全てがそうなるわけではありません。もちろん悪い時期も出てきてしまいます。しかも、ちょっと景気が悪いで済めばよいですが、とても景気が悪いとなってしまうと多くの失業者や貧困層が生まれてしまう可能性もあります。
このとても景気の悪い状況を恐慌と呼びますが、恐慌によって生活が苦しくなってしまう人たちが増加することが考えられます。
〈デメリット② 格差の固定(資産が資産を生む)〉
2つめは「格差の固定」です。
超えられない壁のことを格差と呼びますが、資本主義ではお金持ちと貧乏人に大きな格差が生まれてしまうと言われています。そのため、一度貧乏人になってしまうと、そこから大金持ちになるのがなかなか難しいという特徴も備えています。
(実際に、経済学者のトマ・ピケティという人は、資産の増加と所得収入の増加を歴史的に調べ続けた結果、資産の増加のスピードに所得増加が追い付かない(常に、資産の増加>所得の増加となる)ことを証明しました。)
〈デメリット③ 独占の進行→市場の失敗〉
3つめは「独占資本主義の心配」です。
企業は新しい技術を開発することで世の中に新しい商品やサービスを提供して儲けることを考えます。ところが、ある程度儲かってきた企業は設備の拡張にお金を投資することで、より安く質の高い商品やサービスを提供しようと考えます。これを資本の集積と呼びます。
また、その商品やサービスが人気になってくると「その商品やサービスはそこで買おう」ということが発生します。そうすると、その市場を支配するのはその企業の一人勝ちという状態になります。これを資本の集中と言います。
つまり、資本の集積と集中によって、その市場に他の企業が全く参戦できず、1つの企業の一人勝ちという状態が生まれることが考えられ、この状態を独占資本主義と呼びます。
独占資本主義になると、競争が生まれなくなることも考えられ、資本主義のデメリットの1つと考えられます。
つまり、自由に経済を行ない、競争によって成長が促されることも考えられますが、恐慌による経済の懸念や、競争で負けた人達への配慮の難しさなども考えられます。
さらに、格差の固定なども発生すると競争で負けた人達の苦しい状況が続いてしまう心配も出てきます。
はたして、競争で負けて失業してしまった労働者や倒産してしまった企業などは仕方のないことなのでしょうか。
もし、失業や倒産を解決すべき課題であるとするならば、どのような対策が考えられるのでしょうか。
【※参考:なぜ、資本主義が成立・誕生したのか?(産業革命と“資本家/労働者”の区分)】
〈資本家と労働者:違いは生産手段を持つか〉
そもそも、「資本主義経済」とはどのような仕組みなのでしょうか。
資本主義経済は、「自由が前提である」というとらえ方とは別に、社会に「資本家」と「労働者」がいる状態の経済システムである、というとらえ方もできます。
資本家と労働者の違いは「生産手段を所有するかどうか」です。生産手段は「それ自体で価値を生み出せる手段」だと思って下さい。工場や会社などが該当します。
そのため、生産手段を持っているのが資本家、生産手段を持っていないのが労働者となります。
なお、労働者は自分で稼げる手段を持っていないため、自分の労働力(時間や能力)を資本家に提供することで、お金を稼いでいくことになります。
(そのため、自分の労働力をいかに高められるかが労働者に求められることになります。)
では、資本主義経済がスタートした要因は、なんなのでしょうか。
〈産業革命=機械化が分岐点〉
資本主義経済のきっかけは「産業革命」と言われています。一言でいうと「機械化」です。
(工場制手工業から工場制機械工業になりました。)
また、産業革命のような発展の原動力は「技術革新(イノベーション)」だと言われています。
(シュンペーターが「創造的破壊」と表現しました。)
このように、大きな流れの中で、資本主義経済が作られていきました。
【※参考:資本主義の考え方のまとめ】
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結論:資本主義は【利潤追求の自由】【生産手段の私有】【労働力の商品化】を核にした経済システム。
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メリット:自由が挑戦を生み、価格が資源配分を調整し、競争が技術革新を促して成長につながる。
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デメリット:景気変動が大きく恐慌が起こりうる/格差が固定しやすい/独占が進むと競争が働きにくい。
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成立:産業革命(機械化)を背景に、資本家(生産手段を持つ)と労働者(持たない)が分かれ、労働者は労働力を売って賃金を得る構図が一般化した。