【地域統合とは(前提)】
近年、地域統合が話題となることがあります。地域統合とは「グローバル化の中で小さくまとまるしくみ」のことです。一言でグローバル化といっても、一気に世界全体が1つにまとまるのは難しいので、まずは近くの国から一緒に仲良くなりましょう、という話です。
【地域統合の形態(程度)】
地域統合は①~⑤の5段階に分かれ、段々と関係が深くなっていくと思ってください。
①は「自由貿易地域」です。
日本とアメリカを例にすると、「日本とアメリカが貿易をするときには、お互いの関税(輸入する際にかける税金)を無くしましょう」という発想です。これを域内関税撤廃と呼び、FTAが該当します。①のメリットは「経済が活性化すること」があげられ、デメリットは「国際産業が衰退すること」だと言われています。
②は「関税同盟」です。
日本とアメリカを例にすると、「日本とアメリカが、それぞれ他の国と貿易をするときには同じだけの関税をかけましょう」という発想です。これを域外共通関税と呼び、ブロック経済が該当します。②のメリットは「周囲の影響を受けにくいこと」があげられ、デメリットは「域外関税を設定している他国とモメる可能性があること」があげられます。
③は「共同市場」です。
日本とアメリカを例にすると、「日本とアメリカとの間で、労働力や資本移動も自由にしてしまおう」という発想です。もう少し具体的にすると「企業の海外進出のルールを撤廃しましょう」という発想です。EPAやTPPは共同市場の代表例です。また、ECも該当します。③のメリットは、「生産性が向上すること」があげられ、③のデメリットは「市場内での競争が激化すること」があげられます。
④は「経済同盟」です。
日本とアメリカを例にすると、「日本とアメリカで共通の通貨を使い、同じ金融政策をやっていこう」という発想です。EUが該当します。④のメリットは「統合している国どうしで経済的に助け合えること」があげられ、④のデメリットは「金融政策が自由にできないこと」があげられます。
⑤は「完全な経済同盟」です。
日本とアメリカを例にすると、「日本とアメリカで政治面でも統合していこう」という発想です。⑤のメリットは「その国どうしで完璧な協力が可能になること」があげられます。また、デメリットは「自国の主体性がなくなる」ことがあげられます。
まとめると、「①自由貿易地域 → ②関税同盟 → ③共同市場 → ④経済同盟 → ⑤完全な経済同盟」の順で地域統合が深まっていきます。
【地域統合の事例検討】
〈ヨーロッパの統合〉
ヨーロッパでは、ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体(ECSC)、ヨーロッパ経済共同体(EEC)、ヨーロッパ原子力共同体(EURATOM)の3つが組み合わさって、EC(欧州共同体)が誕生しました。
その後、マーストリヒト条約の制定により、EU(欧州連合)が誕生しました。その際、共通通貨のユーロが導入されています。(ただし、EU加盟国すべてがユーロを導入しているわけではありません。)さらに、EFTAとの間でEEA(欧州経済地域)も設立しました。
そして、政治面の統合強化を考え、EU憲法の制定が検討されました。(ただし、結果は否決でした。)そこで、憲法とまではいかない程度のものとして、リスボン条約が締結されました。
ちなみに、2016年にイギリスの国民投票(離脱派が勝利)が行われています。
また、EUでは所得の面でEU域内での格差が発生したり、移民労働者の流入が見られたりしています。
〈東南アジアの統合〉
東南アジアでは、ASEAN(東南アジア諸国連合)が圧倒的に有名です。ASEANでは域内関税撤廃を目指しています。また、結成5カ国としてインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイがあげられます。
なお、ASEANでは、AFTA(ASEAN自由貿易地域)の合意が行われ、ASEAN地域フォーラムの展開が行われています。(安全保障の話し合いが行われています。)
〈アジア太平洋地域の協力〉
アジア太平洋地域では、APEC(アジア太平洋経済協力会議)で投資の拡大などを目指したり、TPP(環太平洋経済連携協定)が話題となっていたりします。
※参考:その他の地域統合
その他の地域統合として、メルコスール(南米南部共同市場)や、北米自由貿易協定(NAFTA・現USMCA)などがあげられます。