【消費者主権と消費者問題】
「消費者主権」とは、市場経済の中心は消費者であるという考え方のことです。そんな消費者が巻き込まれてしまう可能性があるものを消費者問題と呼びます。
消費者問題の代表例としては、多重債務が上げられます。
他にも、食の安全の問題もあります。食の安全に関しては、消費者が品質を少しでも確認できるように、という観点からトレーサビリティー制度が進められています。トレーサビリティーとは「追跡」という意味で、商品の流通経路を自分で確認できます。
さらに、近年は薬害なども注目されるようになりました。コロナワクチンの副作用が薬害に該当するのでは?ということが話題になったため、近年薬害の話題が再び盛り上がってきました。
【消費者の判断を阻害する要因】
消費者問題が発生する原因の1つは、情報の非対称性です。市場の失敗の1つで扱われた情報の非対称性と同じです。商品を売る側と買う側で持っている情報量に差があることを指しますが、当然情報量の少ない買う側は売る側に騙されて買ってしまう可能性は否定できません。
また、依存効果も有名です。人々が商品を欲しいと感じる要因の1つに、SNSなどの広告宣伝があげられます。このような、企業の広告や宣伝に依存して商品を買ってしまうのを依存効果と呼びます。
さらに、デモンストレーション効果も有名です。他の消費者に左右されて買ってしまう心理的効果をデモンストレーション効果と呼びます。
【消費者問題と消費者主権の対策例】
対策例の1つに、消費者運動があげられます。アメリカのケネディ大統領は「消費者の4つの権利」を提唱しました。「安全への権利」、「知らされる権利」、「選ぶ権利」、「意見を聞いてもらう権利」の4つです。
また、日本では「生協(=生活協同組合)の結成」なども消費者運動としてあげられます。
その他の例としては、行政に頼ることが考えられます。日本では、消費者問題に対応する組織として3つが用意されています。
1つめは消費者庁です。国の行政として機能します。
2つめは国民生活センターです。独立行政法人(民間を一部導入した公共部門)が担当します。
3つめは消費生活センターです。各地方公共団体にありますが、幅広く様々な相談に対応してくれます。そのため、消費者問題の対策として「消費生活センターに頼る」という選択は十分にあり得ます。
【消費者問題と法律】
消費者運動や行政への関わり以上に注目する必要があるのが、法律です。
消費者問題に関する法律として、前提を確認しましょう。消費者問題で最も大事な法律に消費者保護基本法というのがあります。この法律で大事なのは、現在は存在しない、ということです。現在は消費者基本法に変わりました。つまり、「消費者保護基本法→消費者基本法」へ切り替わったということになります。なお、消費者基本法は「保護」がなくなった分、自立支援を重視しています。つまり、自立支援が消費者問題の前提となっています。
これを踏まえ、具体的に5つの法律に注目します。
1つめは、特定商取引法(※1999年までは訪問販売法)です。この法律のポイントは「クーリングオフ制度」の存在です。クーリングオフは「訪問販売」は「8日間」「無条件で」契約解除できる制度です。
2つめは、製造物責任法(PL法)です。この法律のポイントは「企業の過失の有無にかかわらず損害賠償の責任を負う」という点です。
3つめは、消費者契約法です。スマホの購入、電子書籍や音楽配信の利用、賃貸住宅の契約などが該当します。ポイントは、「事業者の不当な勧誘は取り消しが可能である」こと、「消費者の権利を不当に害する契約は無効である」ことがあげられます。
4つめは、金融商品販売法です。金融商品の販売の際に、リスクがあること/契約の期間など、の説明がなければ契約解除や損失の補填をしてもらうことができるという法律です。
5つめは、預金者保護法です。カードの盗難や偽造によって預金を引き下ろされた場合、金融機関に補償義務があるという法律です。