4-10.【要点まとめ】 経済指標と経済成長について

【「経済成長」の確認方法】

一般に、経済成長とはGDPやGNPが増えることを指します。
ちなみに、GDPとはその国で生まれた付加価値(他の商品にはないプラスの要素)の総合計のことです。

 

経済成長の確認方法は大きく3種類です。(ちなみに、経済成長の確認は基本的に年単位で行います。)

1つ目は「フロー」という考え方です。これは、ある期間でどれだけお金が手元に入ってきたか、を表す指標です。

2つ目は「ストック」(国富)という考え方です。これは、ある時点でお金がどれくらい手元にあるか、を表す指標です。
なお、ストック(国富)は「有形資産と対外純資産の組み合わせ」とされています。有形資産は社会が持っている資産と個人が持っている資産の合計、対外純資産は対外資産(その国が外国で持っている資産)から対外負債(外国がその国で持っている資産)を引いた残りだとされています。つまり、ストック(国富)=有形資産+対外純資産で表され、ストック(国富)=社会資本+私的資本+対外資産-対外負債と表すことも可能になります。

3つ目は「その他の指標を用いる」という考え方です。国民純福祉などの指標が該当しますが、このような指標を使おうとすると、何を指標に含めるかによって答えが大きく変わってしまいます。
また、先ほどのストックのような、その時点での貯金額だけで経済成長しているかの判断は難しいとされます。
そのため、現在は、「フロー」に注目するのが一般的になっています。

 

【フローの5つの考え方】

フローは全部で5種類と考えます。その5種類は、①総生産額/②GDP(国内総生産)/③GNP(国民総生産)/④NNP(国民純生産)/⑤NI(国民所得)です。

この5種類は、①~⑤へかけてフローをできるだけ細かくしたものです。

フローのポイントは、「フローをどのような計算で導くか」です。以下のパンの流通の例で考えましょう。

 

みなさんの手元にパンが届くためには、お店でパンを買う必要があります。また、お店はパンを工場から仕入れます。そして、工場はパンの原料を農家から仕入れます。

つまり、「農家→工場→お店→家計」と流通すると思って下さい。

また、農家は0円で小麦を生産し、3万円で工場に販売するとします。また、工場は小麦をパンにして8万円でお店に販売するとします。そして、お店は商品として家計に10万円で販売するとします。

このとき、農家は3万円の儲け、工場は5万円の儲け、お店は2万円の儲けがでているとします。

 

これらを前提に、フローを確認します。

まず、農家は3万円分を、工場は8万円分を、お店は10万円分を生産していますが、これらを合計すると21万円になります。この21万円を「総生産額」と言います。

次に、農家は3万円の儲け、工場は5万円の儲け、お店は2万円の儲けを生みました。これらを合計すると10万円になります。この10万円を「GDP(国内総生産)」と呼びます。なお、最終的に10万円分が生産されていますが、途中で3万円と8万円が生産されており、最終的な10万円分以外の残りを中間生産物と言います。(この例の場合、中間生産物は11万円分になります。)そのため、総生産額から中間生産物を引いてもGDPを導くことができます。

なお、儲けを生み出したのが日本国内の場合は「国内総生産」と表現し、日本国民の場合は「国民総生産」と表現します。(国内総生産は「GNP-海外からの純所得」、国民総生産は「GDP+海外からの純所得」で計算できます。)

ただし、お客さんに商品が渡るときに実際に10万円分の価値がないことも考えられます。閉店間際のパンなどは10万円分の価値はないとして価格を下げることがあります。仮に4万円分を下げた場合、その商品の価値は6万円となります。このときに下げた4万円を「減価償却費(固定資本減耗)」と呼び、10万円から4万円を引いた残りの6万円を「NNP(国民純生産)」と表現します。

そして、儲けをより正確に出すために、間接税(消費税など)を引き、国や地方からの補助金を足します。つまり、「NNP-間接税+補助金」によって出す正確な儲けを「NI(国民所得)」と言います。

 

まとめましょう。総生産額/GDP(総生産額-中間生産物)/GNP(GDP+海外からの純所得)/NNP(GNP-減価償却費)/NI(NNP-(間接税―補助金))の5つが計算式の内容です。

 

 

【※参考:三面等価の原則】

GDPやGNPは「どれだけ生産したか」を表しています。ちなみに、生産したものが全て買ってもらえるとすると、生産と同等の支出があることが分かります。そして、生産した分を買ってもらった場合、そこで得たお金を給料や別の商品の生産など、様々な要素に分配することを企業はします。

これらを前提に考えると、生産額も支出額も分配額も結果的に同じになることが考えられます。つまり、「生産=支出=分配」という式が成立します。よって、GDPは3つの視点で捉えることができます。このように、生産と支出と分配がイコールになる関係を「三面等価の原則」と呼びます。

なお、生産は第一次産業+第二次産業+第三次産業、支出は政府&民間の消費+政府&民間の投資+固定資本減耗+経常海外余剰(輸出-輸入)、分配は利潤+賃金+利子+配当という内訳で表されるとします。

 

【※参考:フローにはなにが含まれないのか】

国民所得を計算する際に、いくつかのものが含まれません。

例えば、ボランティア活動は無償奉仕のため、所得の計算ができません。同じ理由で家事も計算ができないとされます。また、年金などの社会保障や中古品などは付加価値が生まれているわけではないので、所得計算に含まれません。さらに、株価の変動は、あくまでもストック(国富)の価格が変動するだけのため、国民所得に含まれません。なお、公害による損失も合計から引かれないとされています。

 

【「経済成長」の計算の考え方】

去年のGDPが500だったとします。また、今年のGDPが600だったとします。このとき、GDPはいくつ増えていますか。

当然ですが、100増えていますね。経済の世界ではこのときに「100の経済成長」と表現します。思い出しましょう。「経済成長」はGDPが増えることです。

なお、増えた分をパーセントで表すとどうなるでしょうか。

500から600まで20%の経済成長をしているということが分かりますね。経済成長を%で表した場合を「経済成長率」と呼びます。

 

 

【「経済成長率」の2種類】

経済成長率は、「名目経済成長率」と「実質経済成長率」の2種類があります。違いは「物価変動の有無」です。物価変動を考慮しない場合を名目経済成長率と呼び、物価変動を考慮する(物価変動の影響を取り除く)場合を実質経済成長率と呼びます。

なお、より現実的な経済成長の様子が分かるので名目経済成長率よりも実質経済成長率のほうが重要だとされています。

 

【経済成長率の計算方法】

経済成長率は「(本年度のGDP-前年度のGDP)/前年度のGDP×100」で計算できます。もし、実質経済成長率を求める場合は、全てのGDPを実質GDPにすることで計算可能となります。(「(本年度の実質GDP-前年度の実質GDP)/前年度の実質GDP×100」で実質経済成長率が計算できます。)

では、そもそも実質GDPはどうやって計算すればよいのでしょうか。

名目GDPを実質GDPに変化させるためには、GDPデフレーターを利用する必要があります。GDPデフレーターとは、ある年を100とした場合にどの程度物価が変動しているかを表す数値になります。例えば、物価が7%上昇した場合はGDPデフレーターが107になり、物価が4%下落した場合はGDPデフレーターが96になります。

このGDPデフレーターを使って、「名目GDP÷GDPデフレーター×100」という計算をすることで実質GDPを求めることができます。

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