2-8.【要点まとめ】 社会権について

【社会権とは(「貧困」との関係)】

貧困について、日本の場合は相対的貧困(その国の中で大多数よりも貧しい状態)が注目されています。現状、日本人の6人に1人は相対的貧困と言われています。

貧困の原因は「収入が少ない」という点です。失業や時給の低さなどが原因として考えられます。ただし、貧困は個人だけでなく社会的な要因も十分に考えられます。

そこで、貧困や失業の社会的な対策として、憲法の側面から貧困にアプローチする権利を社会権と呼びます。

社会権では、「貧困になってしまった人を解決する」視点に加えて「貧困を未然に防ぐ」視点も考えられています。

 

【社会権①:貧困を解決する視点】

社会権では、「貧困を解決する視点」として生存権が提唱されています。生存権といえば「健康で文化的な最低限度の生活を保障」することで有名です。なお、生存権を具体化した制度を生活保護と呼び、生活保護に関する有名な裁判に朝日訴訟(「生活保護の打ち切り+医療費の請求」は日本国憲法の社会権に対して違憲なのかどうかという裁判)があります。

そして、朝日訴訟の結果は合憲(生活保護の打ち切り+医療費の請求は問題なし)でした。その根拠となったのはプログラム規定説(日本国憲法の社会権は方針を示すのみで生存権の保障までしているわけではない」という考え方)で、憲法に反していないとしました。

(なお、憲法に基づいて権利を裁判で主張できるという考え方もあり、この考え方を法的権利説と呼びます。)

ちなみに堀木訴訟(障害者年金と児童扶養手当の併給ができないのはおかしいとして訴えた裁判)でも、朝日訴訟と同じでプログラム規定説が採用され、障害福祉年金と児童扶養手当の併給は認められませんでした。

 

【社会権②:貧困を未然に防ぐ視点】

貧困を未然に防ぐために必要とされるのが、「教育」と「労働環境の整備」です。(教育で個人の能力を高めながら、労働環境を整備して多くの人達が一定程度の給料をもらえる働きやすい状況を作れば、失業や低収入による貧困は防ぐことができるのでは?という考え方です。)

 

そこで、日本は「教育を受ける権利」を保障しています。義務教育の無償や教育の機会均等などを実現させているわけですね。(ちなみに、教育を受ける権利を主張する際の土台は学習権だとされています。)

 

そして、もう1つが「労働に関する権利」です。労働に関する権利は大きく2つ保障しています。1つは「勤労権」です。「むやみにクビにすることはダメ」など、単純に働くことを国が保障します。(じゃあ、もし働けない場合はどうするのか?という疑問も生じますが、その際には生存権、つまり生活保護が発動します。)

もう1つが「労働基本権」です。現在の日本では、労働基本権を活用して労働環境を改善することが考えられています。そのための方法の1つが「労働者が団結すること」です。つまり、使用者(雇う側)が労働環境を改善してくれないのであれば、労働者が団結して使用者に労働環境改善を訴えることが方法として用いられるわけです。

そのため日本は、劣悪な労働環境への対抗策として労働者に与える権利を3つ準備しました。この3つの権利を労働三権と呼びます。労働三権の別名を労働基本権とも呼びます。また、労働三権の中身をそれぞれ「団結権」「団体交渉権」「団体行動権」と呼びます。

団結権とは、労働者が団結することを認める権利を指します。ちなみに、労働者が団結してできた団体を労働組合と呼びます。

また、労働組合が使用者と実際に労働環境改善の交渉をすることも認められています。これを団体交渉権といいます。

それでも使用者が労働環境を改善しないのであれば、労働組合がストライキなどの行動を起こす権利も持っています。これを団体行動権と呼びます。このような形で労働三権が活用されています。

そして、労働三権に加えて労働三法も保障されました。「労働組合法」「労働関係調整法」「労働基準法」の3つが該当します。これら3つの法律を作って、働く人たちを守ろうとしている現状があります。(労働三法の詳細は経済の労働分野で学習することになります。)

 

このように、国では社会権として「生存権」「教育」「労働に関する権利」を活用するという形で、貧困や失業を解決したり未然に防いだりするための保障をしています。

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