3-12. 人々はメディアにコントロールされている?(世論という形の政治参加について)

「若者はSNSに夢中で、政治なんて興味ない。」

こんな言葉、聞いたことはないでしょうか。
でも、よく考えてみると
・世論って、そもそも 誰の・どんな意見 を指しているのか
・圧力団体やマスメディアは、どんなしくみで世論に影響しているのか
・若者の投票率が低い本当の理由は「関心がないから」だけなのか
・投票に行かなくてもできる、別の政治参加の形はあるのか

といったポイントは、意外ときちんと説明しづらいテーマです。

この記事では、
世論・メディア・若者の政治参加 を結びつけて整理し、
共通テスト・記述・小論文でそのまま使えるレベルまで理解していきます。

 

【世論とは?圧力団体とメディアによる世論形成】

子供に「苦手な食べ物はなんですか」と聞いたら、なんと答えるでしょうか。

ある調査によると、子供の苦手な食べ物ランキングの1位はサラダだそうです。

このような、世間の意見(論)を「世論」と呼びますが、世論は、どのように形成されていくのでしょうか。

 

世論形成の例として、代表的なものに「圧力団体」があります。圧力団体とは「政権獲得を目指さない団体」のことです。(政権獲得を目指す団体を政党と呼びます。)

その他の代表的なものにテレビや新聞などの「マスメディア」があります。(「マス」は巨大という意味です。マスメディアは影響力が大きいため、国会・内閣・裁判所に続く「第四の権力」とも呼ばれます。)

ところが、マスメディアは影響力が大きいがゆえに、様々な問題を抱えているとも言われています。

 

 

【マスメディアとインターネット:第四の権力とその問題点】

では、マスメディアの問題点はなんでしょうか。

 

商業主義と視聴率競争:なぜ内容が偏りやすいのか

マスメディアの問題点はいくつかありますが、1つは商業主義に走ることがあげられます。

テレビ局や新聞社は民間の一企業にすぎません。
企業の目的は「利潤追求(=儲けを増やすこと)」です。

だとしたら、儲けが増えるように報道内容をコントロールする可能性もあります。(より多くのお金を出した企業のCMを優先的に放映するなどは考えられます。)

 

また、テレビはより多くの視聴率を獲得し、雑誌や新聞はより多くの読者に購入してもらうことが重要です。

そのため、視聴率競争などが発生して正しい報道から離れてしまうことも考えられます。

 

世論操作の危険:情報の出し方・切り取り方で印象が変わる

その結果、マスメディアの提供する情報によって世論操作が行われてしまうことも想定されます。
(近年は、メディアが協力して同じような情報を流すメディアスクラムによって、世論操作が行われることがあるとも言われます。)

 

メディアリテラシーとは?メディアを「使いこなす力」

なお、マスメディアの問題点についての対策として、人々のメディアリテラシー(メディアを上手に使いこなす能力)を高める必要があるとされています。

全てのマスメディアの情報を完全に信じてよいのか?という視点が大切というわけです。

 

インターネットによる世論形成:何が変わり、何が変わっていないのか

そして、世論形成で近年特に大きな影響を及ぼしているのが、インターネットだとされています。
ただし、インターネットが世論形成に大きな影響を及ぼしていても、それが選挙での投票行動にも大きな影響を及ぼしていると言えるのでしょうか。
(選挙は、世論を投票という形で見えるようにしたものとも言われます。インターネットが選挙に影響を及ぼすとしたら、若者の投票行動はインターネット出現後から変化を見せているのでしょうか。)

 

【結局、若者はなぜ投票に行かないのか】

令和4年7月に行われた第26回参議院議員通常選挙での10代の投票率は35.42%でした。(全体の投票率は52.05%でした。)

現状は、インターネットで様々な情報が収集しやすくなっています。にも関わらず、投票に若者が行かないのはなぜでしょうか。

 

理由① 今の場所では投票できない(住民票と不在者投票の問題)

ある調査によると、投票に若者が行かない理由の第1位は「今の場所では投票不可能だから」だそうです。住民票の関係で、特に地元を離れた大学生などの投票が難しいとされています。(不在者投票も考えられますが、不在者投票は手続きが非常に面倒なため、敬遠されることも多いと言われています。)

 

理由② 関心がない?無党派層(支持政党なし層)の特徴

また、第2位は「関心がない」ことだそうです。ただし、関心がないと言っても「政治自体に関心があっても支持したい政党がないために結局関心がなくなってしまい投票に行かなくなる」というのが特徴だとされています。このような支持政党がない層を「無党派層」と呼びます。

 

理由③ 「自分の一票では変わらない」現代型無関心(冷淡型)

そして、第3位は「投票が面倒(自分の一票ではなにも変わらない)」だそうです。つまり、政治に対する無力感や嫌悪感、諦めなどを抱いている状態で、これを政治の世界では「現代型無関心」と表現します。

 

つまり、若者が投票に行かない主な理由は、①物理的に投票しにくい(住民票の問題)/②支持したい政党がない(無党派層)/③自分の一票では変わらないという無力感(現代型無関心)の3つに整理できるというわけです。

 

伝統的無関心と政治的無関心:無知型と冷淡型のちがい

なお、現代型無関心と対比して「伝統的無関心」というのもあります。これは、そもそも政治に対する知識がなく、無知なために政治に興味を持てないことを指します。現在の若者にも一定数の伝統的無関心の人がいることは容易に想像できます。

ちなみに、伝統的無関心と現代型無関心を合わせて政治的無関心と呼びます。

 

つまり、人々の政治に対する向き合い方は政治的無関心(伝統的無関心(無知)+現代型無関心(冷淡))と無党派層(支持政党なし)の大きく2つに分かれるということになります。

 

でも、これら大きな2つの理由で投票に行かない若者は、「自分の一票で政治家が決まる」ということが分かっているのなら、投票に行くのでしょうか?

また、そもそも投票に行く必要があるのでしょうか。投票に行かないで政治に参加出来るとしたら、どのような方法があるのでしょうか。

 

【選挙だけじゃない?政治参加のいろいろな形】

政治参加の方法には様々なものがあるとされていますが、選挙での投票以外にも、市民運動/住民運動/NPOなど、近年は様々な例が考えられています。

 

 

【※参考:世論・メディア・政治参加まとめ】

このブロックで確認すること

・世論・圧力団体・マスメディア
・メディアの問題点とメディアリテラシー
・若者の投票率・無党派層・政治的無関心
・選挙以外の政治参加の例

 

1.世論・圧力団体・マスメディア

・世論:その時代に、多くの人が政治や社会についてどう考えているかという「空気」。
・圧力団体:政権は目指さないが、自分たちの利益や主張を実現させるために、政党や政府に働きかける団体。
・政党とのちがい:政権獲得を目指すかどうか。
・マスメディア:テレビ・新聞など、多数に一度に情報を伝える媒体で、「第四の権力」とも呼ばれる。

 

2.メディアの問題点とメディアリテラシー

○マスメディアの問題点
・商業主義・視聴率競争で、センセーショナルな内容に偏りやすい。
・情報の切り取り方しだいで、世論操作の危険もある。

○メディアリテラシー:「誰が・何のために」その情報を出しているのかを考え、複数の情報源を比べながら受け取る力。

 

3.若者の投票率・無党派層・政治的無関心

○若者の投票率は全体より低くなりがち。
○若者が投票に行かない主な理由イメージ
① 今いる場所で投票しにくい(地元から出ているのに住民票がそのままなど)
② 支持したい政党がない(=無党派層)
③ 「自分の一票では何も変わらない」と感じる(現代型の無関心)
・伝統的無関心:政治の知識がなく、そもそも関心を持てない状態。
・現代型無関心:無力感や嫌悪感から、あえて政治から距離を置く状態。
・政治的無関心:この2つをまとめた呼び名。

 

4.選挙以外の政治参加の例

・制度的政治参加:選挙で投票することが基本。
・非制度的政治参加の例:市民運動・住民運動/NPOでの活動/署名・ボランティア・SNSでの発信 など

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