2-10. 「国民」が「国」に請求できることとは(請求権について)

日本国憲法では、国民が国に様々な物事を請求できる権利を認めています。この権利を請求権と言います。
具体的にどのような権利が請求できるのでしょうか。

 

【請求権の内訳】

請求権は大きく4つを確認しましょう。

1つめは「請願権」です。
請願権は、国などに対して「自分の希望を述べる権利」だと思って下さい。方法の例としては署名を集めることなどが考えられるとされています。

2つめは「国家賠償請求権」です。
これは、公務員が法律に反する行為をした場合に国民が不利益を被った場合に国に損害賠償を請求することができる権利です。「国家」に「賠償」を「請求」できるので国家賠償請求権と呼びます。

3つめは「裁判を受ける権利」です。
名称の通り、裁判を受けることができる、という権利です。裁判を受ける権利を憲法で保障しているという話ですね。

4つめは「刑事補償請求権」です。
これは、裁判と一緒に確認していきましょう。

 

[判例:免田事件

熊本県人吉市というところで、強盗殺人事件が発生しました。その時に犯人であろう人が免田さんという男性だったので免田事件と呼びます。免田さんは犯人の疑いがあったので、取り調べを受けることになりました。ところが、免田さんにはアリバイがあり、免田さんが犯人であるという証拠が全く出てこないため、免田さんが強盗殺人をしていない可能性が高まってきました。すると、取り調べの際に拷問に近いような、脅しに近いような状況が発生しました。その結果、免田さんは取り調べに耐えきれず「私がやりました。」と自白しました。つまり、この事件の証拠は「免田さんの自白のみ」という状況です。

このような状況で、免田さんにどのような判決を出すべきでしょうか。

 

裁判所は、この事件に対して免田さんに死刑判決を出しました。

そのため、免田さんは死刑執行までの間、刑務所に入れられることになったのですが、免田さんは死刑判決がおかしいと思い、改めて裁判をしてほしいこと(これを再審と言います)を要求しました。その結果、実に32年後に再審が行われ、無罪判決が出ました。

このときに、「32年も刑務所に入れてしまっていてごめんなさい」ということで国が免田さんにお金を払うために、免田さんが用いた権利を刑事補償請求権と呼びます。つまり、「犯罪の可能性があるために禁されたが無罪だった時に、拘禁していた期間のお金を補償します」という権利を刑事補償請求権と呼びます。なお、無実の罪を着せることを冤罪とも表現します。ちなみに、免田さんに刑事補償請求権ではいくら支払うのが良いのでしょうか。

実際に、免田さんに支払われた金額は約9千万円とされています。(金額が高いか安いかは議論の余地がありますが。)

このようにして、免田さんが無罪となって安心した、という意見もあると思います。

 

でも、もし免田さんが犯人ではないとしたら、免田事件の真犯人は誰なのでしょうか。

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