【「政治」とは…】
あなたは国会議員で、生活に困っている人達に補助金という形でお金を出すことを考えるとします。ただし、国の予算には限りがあるため、全員を完璧に満足させるだけの補助金を出すことはできません。そこで、もし以下の5人に補助金を渡すとしたら、誰から順番に補助金を渡しますか?
②身体障害で仕事ができない
③地震で家がなくなった
④父親が亡くなり、生活ができなくなった
⑤高齢者で年金がなくて生活できない
この5人を助けるために補助金を配るとしたら、国会議員として誰を優先しますか?また、なぜその人への補助金を最優先としたのでしょうか。
このような国会議員と補助金の例もそうですが、物事には限りがあるので、全てを満足に満たすことはできず、どうしても優先順位をつけることが必要になります。
この「物事の優先順位を決めること」を政治と呼びます。
政治と言うと国会中継のようなマジメな雰囲気や、かたい印象を持つかもしれませんが、「物事の優先順位を決める」という1点に注目すれば、印象が全然違うことが分かります。
【政治の基本的な考え方(民主政治はどうやって生まれたのか)】
政治の基本的な考え方は、「物事の優先順位をどうやって決めるか?」です。
では、あらゆる物事の優先順位は具体的にどうやって決めればいいのでしょうか。
国家が物事の優先順位を決めるということを例に考えると、昔は、「物事の優先順位は全て国の王様に決めてもらえばいい」という発想でした。
この考え方に基づくシステムを絶対的に王様が権力を持つ政治という意味で絶対王政と呼びます。
ちなみに、絶対王政の根拠となったのが王権神授説という考え方です。これは、「王は権力を神から授かったという説」です。
それくらい王様の権力が強いと考えられていたため、物事の優先順位を王様が決める状態になっていました。
しかし、当然と言えば当然ですが、市民の中には王様の優先順位の決め方に納得できない人もでてきます。
そこで、「物事の優先順位は国家の中で生活している市民で決めよう」という考え方が出てきました。この考え方を実現させるためには、根本的に絶対王政をなくす必要があります。つまり、王様を倒す必要があるわけです。
そこで、市民が立ち上がり、実際に市民が協力して王様を倒す動きになりました。この動きを市民革命と呼びます。
代表的な市民革命が「イギリスのピューリタン革命・名誉革命」「アメリカの独立革命」「フランスのフランス革命」などです。
これらの革命を経て、王様ではなく市民が実際に物事の優先順位を決めることになりました。
その際、今度は市民がどうやって物事を決めるべきか、ということが当然問題になります。
そこで誕生したのが社会契約説という考え方です。
社会契約説とは、簡単に言うと話し合いのことです。結局のところ、「市民がみんなで話し合って優先順位を決めよう」ということになりました。
つまり、物事の優先順位の決め方が「王様に決めてもらう王権神授説」から「市民で話し合って決める社会契約説」に変わっていったというわけです。
【近代民主政治の前提となる考え方(話し合いに必要なこととは)】
ところで、話し合いで優先順位を決めるとした場合、本当に話し合いで物事の優先順位は決まるのでしょうか。
みんなで話し合ってよりよい物事の優先順位を導くためには、どのようなルールが必要なのでしょうか。
話し合いの際に必要なルールとしては、大きく3つあげられます。
1つめは、誰かの人権を侵害しないことです。この考え方を「基本的人権の尊重」と呼びます。
当然ですが、暴力などをOKとしてしまい、お互いの基本的人権を尊重しない状況が生まれてしまうと、暴力的手段を活用した人が物事の優先順位を決めることになり、話し合いにならなくなってしまいます。
2つめは、全員がちゃんと話し合いに参加することです。
一部の人しか積極的に話し合いに参加しないということになると、充実した話し合いになりません。つまり、参加者全員が主役になることで話し合いがより充実します。
ちなみに、国家で考えた場合、国の話し合いの参加者は国民です。そのため、国民全員が主役になる必要があります。これを「国民主権」と呼びます。
3つめは、誰か1人に話し合いを任せないことです。
国レベルでは、権力を立法・行政・司法に分け、お互いが抑制と均衡を図ることで、誰か1人に任せる状況を防いでいます。この考え方を「権力分立」と呼びます。
これら3つのルールを活用することで、話し合いがおかしな方向に進むことを防ぐというわけです。
はたして、物事の優先順位を決めるための優れた話し合いとは、どのようなものなのでしょうか。