【貿易とは(貿易の2つの前提)】
貿易とは輸出と輸入の合計のことです。つまり、他国との商品やサービスのやり取りを貿易と呼ぶわけです。(そのため、「その国の貿易額が大きい」という場合は輸出と輸入のどちらが多いのか、それとも両方とも多いのかを注目する必要があります。)
そして、貿易は「自由貿易」か「保護貿易」か、という視点で考える必要があります。
【自由貿易とは(比較生産費説)】
自由貿易とは、国家が介入しない貿易(市場の自由取引に委ねる貿易)のことです。
また、自由貿易の基本的な考え方を比較生産費説と呼びます。これは、自分の国で得意な製品の生産に全振りし、後で他の国と商品を交換すると、世界全体の儲けが増えるという考え方です。
比較生産費説はリカードという人が提唱しました。リカードは全ての仕事を1つの国でやろうとしないで、世界全体で分業したほうが、効率が良いとして国際分業を推奨しています。
なお、貿易の際は貿易依存度と呼ばれる国内総生産に占める貿易の割合に注目することがあります。この貿易依存度は先進国ほど低く、日本は約15%とされます。
そして、貿易の中心になりやすい企業は世界各国に企業をかまえている場合があり、このような企業を多国籍企業と呼びます。
【国際分業の2種類】
また、国際分業には2種類の分類があります。
1つは水平的分業、もう1つは垂直的分業と言います。
「北半球に先進国が多く、南半球に発展途上国が多い」という前提の状況を踏まえ、先進国同士の貿易を水平的分業、先進国と発展途上国との貿易を垂直的分業と言います。
なお、先進国の産業は資本集約的で、発展途上国の産業は労働集約的であるとされます。資本集約的は「少ない人で多くの資本を使うこと」で、労働集約的は「多くの人で少ない資本を使うこと」です。
一般的に資本集約的産業の人々は頭を使って効率よく稼ぐことが求められると言われています。
一方で発展途上国は、労働内容は頭をあまり使う必要のない単純労働が多いと言われています。
【自由貿易のデメリット】
もちろん、自由貿易もメリットだけではありません。いくつかのデメリットがあります。
1つは、各国の競争が激化することです。自国の産業が他の国に負けると消滅してしまうため、自国から新しい何かが生まれにくいとされます。
もう1つは、相手の信頼関係が前提で貿易が成り立つことです。信頼関係という前提が崩れると、貿易どころの話ではなくなってしまいます。
そこで、自由貿易の反対である保護貿易という考え方が出てきました。
【保護貿易の考え方】
保護貿易とは、国が貿易に介入することです。そうすることで、他の国に負けないように自国の産業を保護しようと考えます。この保護貿易はリストという人が提唱しました。
そして、国の貿易への介入方法は大きく2つあり、「関税」か「非関税障壁」のどちらかです。つまり、輸入時に税金をかけることで自国の産業を守るか、税金をかけるという方法以外を使って自国の産業を守るか、ということになります。(非関税障壁の代表例が、輸入量の数量制限です。)
【貿易の現状】
世界全体は、貿易額が増加傾向にあります。
また、日本は貿易において3つの特徴が見られるようになりました。
1つ目は、日本の貿易の中心は加工貿易であるということです。日本は、「石油を輸入→製品を国内で加工→工業品(自動車や鉄鋼)を輸出」という流れになります。
2つ目は、輸出先に新興国向けが増加している点です。
3つ目は、近年の動きとして企業の海外流出が見られる点です。生産拠点の移転(→産業の空洞化)や直接投資の増大(海外で企業設立+海外の企業買収)などが見られます。