2-6. 「平等でない」とはどういうことか(平等権について)

【平等権とは】

平等の対義語はなんでしょうか。

不平等ではなく、差別ですね。つまり、平等権とは「差別されず個人として尊重される権利」のことです。

平等権の例として、「教育の機会均等」などがありますが、特に重要なのが憲法第14条の「法の下の平等」です。法律の適用は全ての国民に対して平等であることを示します。
なお、法の下の平等では人種や信条などによる差別を否定しています。事例をいくつか確認しましょう。

 

【平等権の判例①:婚外子相続格差規定】

「事実婚で生まれた子供(非嫡出子/婚外子)の遺産相続は嫡出子(法的に結婚している夫婦の子ども)の2分の1にする」という規定があるのですが、この規定は違憲でしょうか。

裁判では、この規定に対して違憲判決を出しています。(現在、この規定はありません。)

 

[平等権の判例②:尊属殺人重罰規定]

栃木県に住んでいたA子さん(女性:当時中2)がいました。このA子さんに対して29歳まで続いた事件があります。

A子さんは父とA子さんと妹の3人で暮らしていましたが、A子さんは実の父親に夫婦同様の関係を強いられ、5人の子まで産みました。(さらに、父から監禁もされていました。)A子さんが逃げればいいのではないか?という疑問もあるかもしれませんが、逃げると父から暴力を受けていたため、A子さんは諦めもあったそうです。

ところがある日、A子さんが働いている職場で一緒に働いていた男性と結婚したいと思うようになりました。A子さんは、そうはいっても実の父親なので、職場の男性と結婚したいことを実父に話しました。(実父という事実は否定できず、A子さんの中で受け入れました。)その話を受けて、実の父が怒ってしまいました。(その時の父が泥酔していたことも影響しているのかもしれませんが。)そこで、A子さんは、泥酔中の実父の首を絞めて殺してしまいました。その結果、A子さんが自首をしました。

あなたが裁判官だとしたら、A子さんにどのような判決を出すでしょうか。

話を分かりやすくするために、無罪/有罪(執行猶予)/有罪(実刑)/有罪(死刑)のうち、どれに該当するか考えましょう。

日本には、刑法199条に「殺人の場合は、死刑または無期懲役または3年以上(現在は5年以上)の懲役」という規定があります。(有期懲役でないと執行猶予がつけられない、というルールがあるためです。)この規定に照らしあわせると、無罪判決はさすがに出すことはできません。そのため、最低でも有罪(執行猶予)以上の判決が必要となります。

ところが、当時の裁判では、A子さんに死刑判決がでました。「これだけひどい状況で仕方なくA子さんが殺してしまったのに、A子さんが死刑になってしまうのはおかしいのでは?」という発想もあるでしょう。しかし、日本には刑法200条に尊属殺人という規定もあります。尊属とは「血縁関係が上の代にある者(父母や祖父母など)」という意味ですが、尊属殺人の場合は「死刑または無期懲役のみ」という規定になっています。(尊属殺人の理由は「身近な人を大切にすべき」の発想だとされています。)そこで、最高裁判所で争われました。

刑法200条は憲法第14条(法の下の平等)に違反しているのではないか(刑法199条を適用するべきではないか)

最高裁判所では、尊属殺人が重い罰になる規定は、憲法第14条(法の下の平等)に違反するとして、違憲判決を出しました。

そして、最終的な判決は「懲役2年6カ月/執行猶予3年」となりました。(現在は、尊属殺人は削除されて存在していません。また、尊属殺人重罰規定は、初の違憲判決だとされています。)

 

判例に注目すると、「平等とはなにか」ということを改めて考えさせられます。
はたして、「平等」とはなんなのでしょうか。

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