7-3. 「国際連盟」と「国際連合」ってなにが違うの?(国際連盟と国際連合について)

【国際紛争を防ぐための前提】

国内政治と国際政治の最大の違いは「政府があるかないか」です。

各国の政治は政府があるため、政府によって国内の秩序の維持が行われますが、国際には政府がありません。

 

では、「政府が無い」状態でどうやって戦争を防ぐべきでしょうか。

 

まず、世界で考えられている戦争を防ぐしくみは集団安全保障です。
誰かが攻撃をしかけたら、仕掛けた国に他国が一斉に攻撃を仕掛けるというものでした。これを具体化したのが国際連盟ですが、国際連盟では第二次世界大戦を防ぐことができませんでした。

そこで、一応現状は国際連合が「政府のような役割」を担い、第三次世界大戦が起きない状況を作っています。

ただし、実際に戦争が完全に防げているかどうか、と言われるとまだまだ分からない状況にあります。

そのため、国際連盟と国際連合のしくみを分析して、どのように平和を維持していくべきかを考える必要が出てきました。

 

【国際連盟はなぜ第二次世界大戦を防げなかったのか】

国際連盟の成立のきっかけは第一次世界大戦後のパリ講和会議でのヴェルサイユ条約です。

このとき、米大統領ウィルソン平和14カ条を提唱し、それらを具体化したものが国際連盟でした。

なお、平和14カ条の原型はカント永久平和のためにだとされます。

また、カントの考え方の1つに「全員の価値を尊重する」というものがあります。みんな違ってみんないい、という発想です。
この発想があればお互いがお互いを尊重することができるのではないかと考えました。
そして、お互いを尊重すればケンカをすることもなくなるだろうという考えにつながったわけです。この発想を目的の王国と名付けました。

つまり、物事を決める時には全員が納得することが大切だとしたわけです。
ところが、全員が全員、全てのアイデアを受け入れるのは難しいと考えました。そこで、全員のおとしどころを考える機関を作る発想になり、国際連盟へつながりました。

 

では、国際連盟の機関は具体的にどのようなものがあったのでしょうか。

代表的なものが総会です。

他に理事会と呼ばれる中心的な話し合いの場があり、常任理事国として日、英、仏、伊の4カ国が該当しました。

また、常設国際司法裁判所と呼ばれる、国どうしがもめたときの判断をしてもらう組織など、様々な機関の組み合わせで成り立っていました。

 

ところが、これらの機関を組み合わせても、国際連盟という組織は失敗に終わりました。(実際に第二次世界大戦の発生を防ぐことはできませんでした。)

 

なぜ、国際連盟は失敗したのでしょうか。

 

失敗の原因は大きく3つだと言われます。

 

1つめは、全会一致制です。

国際連盟の発想の根底には目的の王国がありました。全員納得は理想ですが、その理想を実現させることは難しいです。
実際に国際連盟は議決で全会一致制を採用し、なかなか物事が決まりませんでした。

 

2つめは、勧告のみの対応です。

ある国が他国に対してなにかしらのトラブルを起こした時、経済制裁などしか行えず、軍事的な制裁などは行われなかったため、抑止力が弱かったとされます。

 

3つめは、米ソの不参加と日独伊の脱退です。

平和14カ条を提唱したアメリカが国際連盟に不参加になったり、常任理事国である日本とイタリアが脱退したりと、ぐちゃぐちゃな状況になったのが、国際連盟が上手に機能しなかった要因の1つだとされます。

 

実際に国際連盟が上手く機能しなかったことも影響して、第二次世界大戦後が防げませんでした。

そこで、第二次大戦後にサンフランシスコ会議が開かれ、国際連合憲章が採択され、実際に国際連合が成立しました。(原加盟国は51カ国です。)

 

では、これらの反省や課題などを踏まえ、国際連合はどのような組織として誕生しているか、を確認しましょう。

 

【国際連合のしくみ】

国際連合は(1)~(6)までの『「6つ」の主要機関』で構成されています。

この6つは、今後国際連合を学習する目次だと思って下さい。特に大事なのは(2)と(3)です。そのため、(2)と(3)は次回以降扱います。

 

(1)は総会です。全ての参加国が参加し、全ての参加国は議決の際に一票を持っています。
これを一国一票の原則と呼びます。

また、議決の可決について、基本は過半数ですが、重要な内容の場合は3分の2以上の賛成が必要となります。

 

(2)は安全保障理事会です。国連の中心的な機関で、常任理事国は米英仏ロ中の5カ国です。

 

(3)は経済社会理事会です。様々な専門機関と連携して、世界の平和維持に貢献しています。

 

(4)は信託統治理事会です。ある地域が国連を信用して財産処分などを行うような機関ですが、その役割を終えたということで、現在は活動を停止しています。

 

(5)は事務局です。事務総長は五大国以外というルールがあります。

 

(6)は国際司法裁判所です。国家を対象に裁判を行います。

ちなみに、国際刑事裁判所という機関もありますが、こちらは国連から独立していて、個人を対象に戦争犯罪を追及するという特徴があります。

 

これら6つの主要機関が国際連合として機能することになりますが、そんな国連が現在の世界でどのような役割を果たしているのでしょうか。

また、私たちは、国連とともになにをすべきなのでしょうか。

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