国際連合は「平和と安全の維持」が目的です。そこで、安全保障理事会以外に、国際の平和と安全の維持をしていく方法の1つとして、専門機関や連携機関を活用することがあげられます。(新型コロナウィルス感染症が流行した時は、世界保健機関(WHO)が活躍しました。)今後も様々な機関と連携していくことが考えられます。(他には、国連世界食糧計画(WFP)/ 国際労働機関(ILO)/ 国連児童基金(UNICEF) / 国連環境計画(UNEP) / 国連教育科学文化機関(UNESCO) など、非常に多くの機関があげられます。)
そして、特に近年注目されているものにSDGsがあげられます。
【国際連合とSDGs】
SDGsとはSustainable Development Goalsの略で、日本語の場合は「持続可能な開発目標」となります。
ちなみに、目標は全部で17あります。さらに、目標の下に169のターゲットがあります。
また、国際連合は、SDGsを達成するためには「誰も取り残さない」という視点が大切であるとされています。そのために、必要なものの1つが「人権」です。
【国際連合と人権】
国際連合は人権について、国連人権委員会(現:国連人権理事会)が担当していました。(関与の代表例としては、アパルトヘイトの廃止があげられます。)
また、国際連合の第3回総会で人権について話し合いが行われ、世界人権宣言が採択されました。この「宣言」を「規約」に変えて法的拘束力を持たせたものを国際人権規約と呼びます。
つまり、世界人権宣言は法的拘束力がなく、国際人権規約は法的拘束力がある、という違いがあります。
なお、世界人権宣言の前には、アメリカのローズベルト大統領が人権について「4つの自由」を提唱しています。(①言論と表明の自由/②信教の自由/③恐怖からの自由/④欠乏からの自由)
【国際人権規約の2つの規約(内容)】
国際人権規約の内容に、A規約とB規約の2つがあります。(ちなみに、A規約もB規約も「民族自決」が前提です。)A規約は「経済・社会・文化に関する規約」で、B規約は「市民・政治に関する規約」です。
なお、B規約には2つの選択議定書があります。第1は、「B規約を自国政府が侵害した場合に、被害者個人が規約人権委員会という組織に救済を申し出できる」という内容です。第2は、死刑廃止条約です。なお、日本の最高裁判所は死刑を「憲法の身体の自由にある残虐刑にはあたらない」として合憲としています。
〈※参考:日本の方針について〉
なお、以前は「高等教育の無償化」も留保していましたが、現在は留保を撤回しています。
【国際連合の課題(国連改革の議論)】
国際連合の課題の1つは、「財政難」である点です。国際連合を運営していくために各国が分担金を支払うことになっているのですが、この分担金が滞納されていることによる財政難が課題だとされています。(日本の分担金の割合は約9%です。)
また、「安全保障理事会の改革」も課題としてあげられています。例えば、GDPが上位に来る日本やドイツは常任理事国に入っていないのですが、それでいいのか?などです。
さらに、「職員の偏り」も問題視されています。