6-7. 労働問題を様々な観点から考えてみる(労働問題と雇用対策について)

【失業問題(雇用問題の前提)】

日本はどれくらい失業しているのでしょうか。

 

失業を表す割合を完全失業率と言います。
これは、労働力人口のうち、働きたくても働けなかった人の割合を指します。(労働力人口は、生産年齢人口から非労働力人口を引くことで出せます。)

なお、現在の日本の完全失業率は2024年で2.6%とされています。

 

また、労働に関しては有効求人倍率という数字もあります。

これは「求職者1人あたりにどれくらいの求人があるか」という倍率ですが、例えば求職者1人に対して2件の求人がある場合に有効求人倍率は2倍となります。計算上は、有効求人倍率が1倍を超えれば全員が(選ばなければ)仕事に就けることになります。

また、基本的には景気が良いほど仕事も増えていく傾向にあるので、有効求人倍率が高いと景気が良いだろうと考えることもできます。ちなみに、2024年の有効求人倍率は1.28倍でした。これは、求職者1人に対して1.28個の求人があることになります。
だとすると、企業と求職者のミスマッチが起きているとも考えられそうです。

 

では、具体的にどのような雇用の対策が考えられるのでしょうか。

 

【雇用対策①:女性労働】

女性労働の代表的な法律に、男女雇用機会均等法があげられます。

この法律では、雇用において男女間での差別的な待遇を禁止しています。近年はセクハラやマタハラなどについても禁止されるようになりました。

 

また、育児介護休業法も作られ、男女で派遣労働者も含めて申請が可能であり、企業も育児休暇や介護休暇を断れないことになっているのですが、特に男性で取得率が低い現状があります。

 

さらに、女性活躍推進法など、近年では新しい法律も見られるようになってきました。
(なお、このような法律によってダイバーシティ(多様性)の充実が進められようとしているとも言われています。)

 

そして、様々な対策によって、現在女性の労働力人口は増加傾向にありますが、多くが非正規雇用であるという特徴もあります。
(男性が約2割であるのに対し、女性は5割を超えています。)

 

【雇用対策②:非正規雇用】

重要なのは労働者派遣法です。

派遣労働者と呼ばれる人達の範囲をどこまで認めるか、という議論で最初は専門的な業種のみでしたが、現在は幅が広がり、製造業の派遣までOKになりました。また、派遣の期間も当初は1年でしたが、3年、制限なしと徐々に拡大していきました。

また、パート労働法で正社員との条件格差是正などがうたわれています。

 

【雇用対策③:高齢者雇用】

高齢者に対しては高齢者雇用安定法が制定され、定年後も希望者全員を65歳まで雇用する義務が企業に課せられました。

 

【雇用対策④:外国人雇用】

外国人労働については、2つの前提をおさえます。

1点目は単純労働が禁止されている、という点です。
これは、日本人の労働確保と治安維持のためと言われています。

2点目はホワイトカラーが拡大している、という点です。
ホワイトカラーとは、一言で言うと「知的労働者」という意味です。
これは、Yシャツの襟がホワイトな人が多い職業が知的労働者だったことから来ています。
(そのため、Yシャツの襟がブルーな人が多い職業が肉体労働だったことから、肉体労働者を「ブルーカラー」と表現することもあります。)

これら2点についての現状を把握することが重要になります。

まず、単純労働については特定技能で解禁されることになりました。
特定技能とは「特定の分野の産業」という意味です。
つまり、一部の分野で外国人の単純労働が解禁されたというわけです。
これは、日本の人手不足が深刻化しているために人手不足を解消することが目的だとされています。

また、ホワイトカラーについては、技能実習生の受け入れが行われるようになりました。
技能実習生とは「日本の企業で技能・技術・知識を習得するために来日する外国人」のことで、これは発展途上国への国際貢献が目的とされています。

なお、2024年現在は技能実習制度が廃止され、育成就労を創設することを目指しているとされます。

また、外国人労働者は長時間労働、低賃金、様々なハラスメントという多くの人権問題を抱えていると言われています。

さらに、不法就労も増加していると言われています。

 

【雇用対策⑤:その他の雇用対策(近年の様々な働き方)】

近年は、フリーランスと呼ばれる働き方が増えてきました。

また、在宅勤務テレワークなどの働き方がコロナをきっかけに加速しています。

法律では、働き方改革関連法が制定され、高度プロフェッショナル制度が導入されました。
そのため、高度プロフェッショナルと呼ばれる仕事は労働時間の規制対象から外すこととなりました。

企業では、メンバーシップ雇用からジョブ型雇用への転換が見られました。
メンバーシップ雇用は会社が労働者に様々な業務を割り当てること、ジョブ型雇用は各業務に対して働く人を割り当てることです。
つまり、「どの会社に入るか」よりも「どの仕事をするか」のほうが求められつつある、というわけです。

 

このように、多様な働き方が続々と増えてきています。

 

はたして、これからどのような働き方が良いのでしょうか。

 

【労働に関する時事問題】

労働に関する時事問題として、いくつかのテーマに注目します。

① 賃金について

賃金については、最低賃金法という法律で規定されています。(労働基準法ではない点に注意が必要です。)
なお、賃金は一定程度の金額を保障することを法律で定めないと、不当に賃金を安くしてしまい、労働者が困惑することが考えられるため、最低賃金法がありますが、あくまでも国全体の最低賃金を法律で定めているだけなので、都道府県によって実際の最低賃金が異なる点に注意が必要です。

また、賃金には実質賃金(物価の変動を考慮した賃金)という考え方があります。
通常、多くの国は物価の上昇に伴って賃金も上昇していくのですが、日本の場合は物価上昇に対して賃金が上昇していないという現実があります。

そのために、日本は物価上昇に賃金が追いつかず、生活が苦しい国民が増大していると言われています。

さらに、賃金の格差も生じるようになってきました。
要因は「大企業と中小企業 / 正規と非正規 / 男女別 / 学歴別」など様々なものが指摘されています。

そして、日本の不景気と今後の日本や世界情勢の不透明さから、労働分配率(企業の儲けのうち、人件費に回る割合)が低下傾向にあります。

 

② 労働時間について

日本の労働時間については、2つの特徴をおさえることがポイントです。

1点目は「世界と比較したときの労働時間」です。
日本の場合、世界と比較して労働時間が長い傾向にあります。

2点目は「日本の労働時間は減少傾向にある」です。
ただし、日本の労働時間の減少の理由は「非正規雇用が増加した」ことにあるので、一概に減少傾向にあることが良いこととはとらえられません。

 

③ 労働に関する時事用語について

労働に関する時事用語を確認します。

リスキリングとは、改めてスキルの獲得を目指すことを指します。

ディーゼントワークとは、「働きがいのある、人間らしい仕事」のこと

ミスマッチとは、企業と労働者が合わない状態

ボランティア休暇という制度の導入が各企業で検討されていますが、取得義務の根拠法令はありません。(休暇を与えることは義務ではない、ということです。)

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