3-4. 内閣とは?内閣のメンバーって誰?(内閣・行政権について)

「内閣改造」「〇〇内閣が発足」「衆議院解散」などをニュースでよく聞きますが、実際に内閣には誰がいて、どんな仕組みで動いているのでしょうか。

そもそも内閣ってなんなのでしょうか。

そして、内閣はどのように社会や個人に影響を与えているのでしょうか。

現在の日本の内閣は
・内閣総理大臣と国務大臣からなる「チーム」
・1府14省庁と、各省の大臣・副大臣・大臣政務官(政務三役)による行政組織
・衆議院の内閣不信任決議と、69条解散・7条解散という「リセットの仕組み」

など、細かいルールが組み合わさって動いています。

この記事では、
「内閣のメンバーは誰か」「行政はどういう形で動いているのか」「不信任が出たら何が起こるのか」
など、内閣の基本を整理していきます。

 

【内閣の前提(議院内閣制と行政権の役割)】

議院内閣制とは?内閣と国会の「信任」の関係

内閣の仕事は、外交や軍事の対応、国会での様々な説明など多岐にわたりますが、それらの仕事をしていく上で大前提となるのが「議院内閣制」と呼ばれるシステムです。

これは、「内閣の政治的基盤が国会にある」と表現されるのですが、簡単に言うと「内閣と国会は信頼関係があるので連帯責任を負う」というしくみです。

 

行政権=政策を実行する権限

また、内閣の役割は「様々な政策の実行」とされます。
政策を実行する権利を行政権と呼ぶわけですね。

 

【内閣の構成と内閣総理大臣の条件】

内閣は「内閣総理大臣」と「国務大臣」の2つの立場の人達で成り立っています。
(なお、内閣総理大臣も国務大臣も文民であることが必要になります。)

※文民とは、軍人ではない人をさします。
昔は軍人が中心の政治で軍部が暴走して戦争につながってしまったという歴史的経過から、内閣に軍人が関わらないことになっています。

 

内閣総理大臣の指名と任命

内閣総理大臣は、内閣のリーダーのことです。
ちなみに、内閣総理大臣の指名は国会の担当でした。(総理の任命は天皇です。)

 

また、内閣総理大臣の指名のポイントは「国会議員の中から指名される」という点です。

つまり、国会議員になれないと内閣総理大臣にはなれないというわけです。

しかも、国会が総理を指名するため、総理は国会議員に選ばれるだけの何かが必要ということになります。

 

総理と「公約」:国会議員から選ばれるリーダーに求められるもの

総理に必要な資格や要素はいろいろとあると思いますが、その中で1つ注目されるのが、「総理大臣になったときに実際になにをするのか」です。
これを公約と呼びますが、総理大臣になるためにより良い公約を掲げる必要があるわけです。

 

【国務大臣とは?任命ルールと役割】

ここでは、内閣総理大臣を支える「国務大臣」とはどんな人なのか、その任命ルールと役割を確認します。

 

国務大臣=各省のリーダーの現在の人数

国務大臣とは日本にある省のリーダーのことを指します。

国土交通省のリーダーを国土交通大臣と呼び、文部科学省の大臣を文部科学大臣と呼ぶように、様々な国務大臣がいることになります。

なお、現在の国務大臣の定員は原則14人以内と定められています。
ただし、特別に必要がある場合には、3人を限度に増やして17人以内にすることができるとされています。

 

また、国務大臣には2つのルールがあります。

 

ルール①:国務大臣の任命と罷免

1つは「内閣総理大臣が国務大臣の任命・罷免権を持つ」ことです。

簡単に言うと、「国務大臣を何人にするか」「国務大臣を誰にするか」を決めることができるわけです。

つまり、国務大臣を決めるのが内閣総理大臣の仕事の1つである、ということです。

 

ルール②:国会議員の割合と民間人登用

もう1つは「過半数は国会議員から任命する」ことです。

逆に考えると、半分より少ない人数であれば国会議員でなくてもOKということになります。

 

はたして、国務大臣には誰が適任なのでしょうか。

 

【日本の行政組織:1府14省庁と政務三役】

現在の行政組織の特徴は2つです。

 

特徴①:1府14省庁体制の全体像(内閣府+11省+3庁)

1つは2024年時点で「1府14省庁」体制である点です。

1府は内閣府を指し、縦割り組織の調整を行うとされています。

また、14省庁は文部科学省や復興庁などの省庁が全部で14あるという話です。
(11の省と3の庁で構成され、①総務省/②法務省/③外務省/④財務省/⑤文部科学省/⑥厚生労働省/⑦農林水産省/⑧経済産業省/⑨国土交通省/⑩環境省/⑪防衛省と(1)デジタル庁/(2)復興庁/(3)子ども家庭庁の合計14省庁となっています。)

 

〈※参考:「省」と「庁」のちがい〉

ちなみに、「省」と「庁」はなにが違うのでしょうか。

省は各省のトップである国務大臣がリーダーであり、それぞれ独立している組織になりますが、庁はあくまでも内閣府の一部に近い組織として扱われます。
庁のリーダーは内閣総理大臣だとされるという違いがあります。

 

特徴②:各省に置かれる「政務三役」

もう1つは「それぞれの省に政務三役が設置されている」という点です。

大臣副大臣大臣政務官をまとめて政務三役と呼びます。
(文部科学省なら、文部科学大臣・文部科学副大臣・文部科学大臣政務官の役がいるということになります。)

なお、大臣政務官は、その省庁のNo.3を指します。

 

「官僚主導」から「政治家中心」へ:大臣が直接答弁するようになった意味

また、ポイントは、政務三役の設置に伴って「政務次官が廃止された」という点です。
政務次官とは、政務三役が設置される前の大臣に次ぐ地位のことを指します。

昔は、政務次官が大臣に代わって議会答弁を行っていましたが、政務次官制度が廃止されたことによって、大臣が直接答弁で答える機会が増えるようになりました

これは、昔は「官僚主導の政治」と呼ばれていたものの、このような変化が「国会議員(政治家)中心の政治」になってきたことを表していると言われています。
(なお、このように国会中心となったきっかけの法律を国会審議活性化法と呼びます。)

 

【衆議院の内閣不信任決議と内閣総辞職・解散】

最後に、衆議院だけが持つ「内閣不信任決議」の力と、それが出されたとき内閣に何が起こるのかを整理しておきましょう。

 

不信任決議とは?出せるのは衆議院だけ

内閣が仕事を進めていくと、上手くいかないことや、国民や国会を無視して内閣の都合のいいように仕事が進んでしまう可能性が出てくることが否定できません。

そこで、内閣の様子を見て内閣がダメだと思ったら、衆議院から「内閣がダメである」として内閣不信任決議を出されることがあります。(不信任決議を出せるのは衆議院だけです。)

 

不信任決議が可決されたとき内閣が選べる2つの道

もし内閣不信任決議が出された場合、内閣は10日以内に2つの選択肢のうちどちらかを選ぶことになります。

1つは「衆議院の言う通りで、内閣が悪かったです、ごめんなさい」と言って内閣全員が一斉に辞めるという選択です。
これを内閣総辞職と呼びます。

もう1つは「内閣が悪いとはどういうことだ!そう考える衆議院が間違っている!」と言って衆議院を解散させるという選択です。
日本の政治システムの前提が議院内閣制なので、お互いの信頼関係が崩れたら、衆議院の解散で内閣との関係をリセットしましょう、という発想ですね。

(なお、衆議院議員が解散となった後は必ず内閣総辞職となります。つまり、内閣不信任決議が一度出されてしまうと、内閣はどちらを選んでも結果的に総辞職にはなります。内閣は衆議院を解散させずに自ら総辞職を選んで終わるか、衆議院を解散させた後に総辞職となるかの違いです。)

また、衆議院が解散したときは、解散の日から40日以内に衆議院議員の総選挙を行い、選挙の日から30日以内に特別国会を召集することになっています。

 

ここでのポイントは、衆議院が内閣不信任決議を出すときは「衆議院議員である自分がクビになる覚悟を持ってでも不信任決議を出す」という点です。

内閣が衆議院の指摘に対して素直に反省すれば終了ですが、内閣が衆議院に対抗すると、衆議院議員は解散によって、全員が一度クビになり改めて選挙で衆議院議員を決め直すことになります。

内閣不信任決議はそれくらい大きな話というわけです。

 

そのため、内閣は不信任決議を出されないよう、日々活動していく必要があります。

 

はたして、そんな内閣はこれからの日本において、なにをしてくれるのでしょうか。

 

〈※参考:69条解散と7条解散の違い〉

内閣不信任決議による解散を憲法69条が根拠になっていることから69条解散と呼びます。
ところが、69条解散(内閣不信任決議による解散)は過去に4回しか行われていません。

それよりも7条解散のほうが圧倒的に多い状況にあります。

7条解散は、天皇の国事行為による解散です。

ちなみに、天皇の国事行為は内閣の助言と承認が必要なので、内閣の都合でいつでも解散できることになります。
(実際に、内閣総理大臣の都合のいい時に7条解散を発動させています。)

 

〈※参考:「内閣総辞職」が発生する3パターン〉

内閣総辞職が発生する場合は、
①内閣不信任決議による総辞職
②内閣不信任決議によって衆議院が解散した後に総辞職
という2つのパターンに加えて、
③なにかしらの理由で内閣総理大臣が欠けた場合
というものがあります。
③は簡単に言うと、内閣総理大臣が辞めた場合は自動的に内閣総辞職になるというわけです。(内閣のメンバーを決めているのが総理大臣なので、総理がいなくなったら総辞職となるのは想像しやすいです。)

 

 

【※参考:内閣・行政権のまとめ】

このブロックで確認すること

・議院内閣制と行政権の基本
・内閣総理大臣と国務大臣の条件
・1府14省庁と政務三役
・内閣不信任決議と「69条解散・7条解散」

 

1.議院内閣制と行政権

・行政権は 内閣に属する(憲法65条)。
・内閣は行政について国会に 連帯責任 を負う(66条)。
・国会の信任にもとづいて内閣が成り立つしくみを 議院内閣制 という。

 

2.内閣総理大臣と国務大臣

・内閣=内閣総理大臣+国務大臣。
・総理大臣
→国会議員の中から国会の議決で指名
→天皇が形式的に任命(国事行為)
→文民(軍人以外)でなければならない
・国務大臣
→総理大臣が任命・罷免
→過半数は国会議員 から
→文民でなければならない

 

3.1府14省庁と政務三役

・日本の行政組織:1府14省庁体制。
・省のトップ=〇〇大臣(国務大臣)、庁は内閣府の一部的な位置づけ
・各省には、「大臣/副大臣/大臣政務官」の 「政務三役」 が置かれる

 

4.内閣不信任決議と69条解散・7条解散

・衆議院だけが 内閣不信任決議案 を出せる。
・不信任案可決(または信任案否決)のとき、内閣は 10日以内に「衆議院解散」か「総辞職」 を選ぶ(69条)
・69条解散:不信任決議がきっかけの解散
・7条解散:天皇の国事行為としての解散(実際は内閣の助言と承認)
・現実の政治では、多くが7条解散と理解しておけばOK。

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