4-14.【要点まとめ】 財政について(歳出の視点)

【財政の役割(機能)】

財政とは、政府(国や地方)の歳入と歳出」のことです。国や地方公共団体がお金を手に入れた場合を歳入、お金を使った場合を歳出と表現します。

なお、国や地方が歳出をすることで担う機能は大きく3つあります。その際の視点は、①市場原理でカバーできない資源をどうやって補充するか/②所得が少ない人の生活をどうやって救うか/③景気をどうやって調整するか、です。

 

【役割①:資源配分の調整】

「①市場原理でカバーできない資源をどうやって補充するか」という視点に対応する国や地方の役割を資源配分の調整と呼びます。本来の市場原理にもとづく経済活動だけで資源(資本、労働、土地など)が上手く配分されない場合に、政府が介入して資源の配分を調整することを指します。代表的な資源配分調整が公共財の提供です。

 

【役割②:所得の再分配】

「②所得が少ない人の生活をどうやって救うか」という視点に対応する国や地方の役割を所得の再分配と呼びます。
国や地方が人々からお金を集め、改めて人々に分配することを指します。

所得の再分配の目的は、収入が多い人からお金をたくさんもらい、収入が少ない人へお金を配ることで、収入面での格差を縮めることだと言われます。これを所得格差の縮小と表現します。つまり、所得格差の縮小のために所得の再分配を行うことで、収入が少ない人でも安心して暮らせるようにすることが狙いとして考えられます。

 

所得の再分配の方法は大きく2つです。

1つは累進課税収入が多い人ほど多くの税金を払うしくみ)を活用することです。

もう1つは、国や地方による社会保障制度の充実です。

 

【役割③:景気の安定化(景気調整)=財政政策】

3つ目の国や地方の役割は、景気調整と呼ばれます。財政を用いることによって景気を安定化させようという発想です。この発想による政策を財政政策と呼びます。

 

財政政策は、大きく2つを考えます。

1つは、ビルトインスタビライザーという政策です。ビルトインは「組み込まれた」、スタビライザーは「安定のための装置」という意味です。つまり、「景気を安定させるために組み込まれた装置(しくみ)」をビルトインスタビライザーと呼びます。

ビルトインスタビライザーの方法は「累進課税」と「社会保障」の2つです。この2つのポイントは、一度しくみを作ってしまえば意図せずとも勝手に景気を安定化させてくれるという点です。「累進課税」と「社会保障」は所得の再分配にもビルトインスタビライザーにも貢献してくれるわけです。

 

もう1つは、フィスカルポリシーという政策です。フィスカルとは「財政」、ポリシーは「政策」という意味です。つまり、意図的に景気を調整するような政策を実施するのがフィスカルポリシーです。

フィスカルポリシーを考える際に注目すべき点は「税金」と「政府支出」です。

一般的に、その国や地域の景気を良くするためには「減税」と「政府の支出の増加」が必要だと言われています。一方で、その国や地域の景気を抑えるためには「増税」と「政府の支出の減少」が必要だと言われています。

 

このように、ビルトインスタビライザーとフィスカルポリシーを組み合わせて、景気を安定化させます。ポイントは、この2つの違いは「意図があるかないか」だということです。

 

ちなみに、一般的に景気は金融政策と財政政策の2つを混ぜて調整するとされているので、金融政策と財政政策の融合ポリシー・ミックスと呼びます。

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