【有事法制について】
自衛隊の活動は目を見張るものがありますが、そんな自衛隊はどこまで活動してよいでしょうか。国内のみで活動をとどめるべきでしょうか、それとも日本の周辺まで活動すべきでしょうか、または世界どこでも活動してOKとすべきでしょうか。
この質問に対して考えられているのが「有事法制」です。
有事法制とは、「自分の身の危険についてどのように対処するか」を考えたものです。
有事法制の範囲は「日米安保共同宣言」と呼ばれるものでアジア太平洋地域に拡大しました。
また、ガイドライン関連法という法律によって、自衛隊は「有事の場合のみ対応」だったものが「周辺事態(日本の周辺地域)までOK」となりました。(ガイドライン関連法の中心になる法律を周辺事態法と呼びます。)
なお、周辺事態のルールは2015年に撤廃され、地理的制限がなくなりました。
また、有事法制については具体的に法律として規定されています。
1つは、有事法制関連3法です。これは有事の際の基本方針を示しています。
また、もう1つは、有事法制関連7法です。これは有事の際の具体的な動きを示しています、
【自衛隊の海外派遣について】
自衛隊の活動範囲について地理的制限は撤廃されましたが、どのような内容で活動してもよいのでしょうか。テロの対処、戦争の対処、海賊の対処、世界の平和が脅かされる事態についての対処など、どこまで活動してよいのでしょうか。(なお、自衛隊は派遣であり、「派兵」ではないので注意しましょう。)
また、前提としてPKO協力法という法律があり、PKOに協力する際のルールが決められています。
では、具体的に自衛隊の活動内容は、どのような内容までOKなのでしょうか。
まず、テロの対処については「テロ対策特別措置法」が規定されているので、テロの対処は可能です。
また、戦争の対処については「イラク復興支援特別措置法」が規定されているので、戦争の対処も可能です。
さらに、海賊の対処については「海賊対処法」が規定されているので、海賊の対処も可能です。
そして、安全保障関連法を皮切りに「国際平和支援法」が成立し、後方支援が随時可能となりました。
つまり、自衛隊は「テロ/戦争/海賊/世界平和」と、かなりの部分で派遣できるという話です。
【※参考:テロ対策特別措置法とイラク復興支援特別措置法の具体的内容について】
テロ対策特別措置法は、海上自衛隊のアメリカとイギリスの後方支援を認めた法律になります。この法律はアメリカ同時多発テロの発生した2001年に制定されましたが、2007年に失効しています。また、2008年に新テロ特措法として復活していますが、結局2010年に失効しました。
また、イラク復興支援特別措置法は、2003年に陸上自衛隊と航空自衛隊の派遣を認めています。しかし、この法律については2008年に名古屋高等裁判所が違憲判決を出しており、実際に2009年に自衛隊は撤収をしています。
【日米安保体制と米軍基地】
米軍基地については、判例を確認します。
[判例:砂川事件]
在日米軍基地の拡大に反対する人たちが柵を破壊し、基地内に入って訴えられました。その際、在日米軍の反対派は「在日米軍は憲法9条違反に該当する!」として対抗しました。
はたして、在日米軍は憲法9条違反に該当するのでしょうか。
判決は、在日米軍に対して「統治行為論」が出されました。統治行為論とは「高度に政治的な内容については、違憲審査の対象にならない(=司法での判断を回避する)」という考え方です。
つまり、米軍基地は(裁判所では違憲かどうか判断できないため)現状では違憲扱いにならないとされています。
ところが、米軍基地を違憲扱いとしない(=米軍基地を日本に置いておくことを認める)とした場合、1つ問題が発生します。
それは、「どこに米軍基地を設置するのがよいのか」です。
もし、自分が住んでいる地域に米軍基地を作るとなった場合、米軍の暴行、軍による事故や騒音など、様々な懸念が考えられるため、米軍を撤退させるという発想もあるのかもしれませんが、米軍を撤退させることによる懸念もいろいろと考えられます。
そう考えると、米軍基地をどこに設置しておくのがよいのでしょうか。
現状は、普天間基地(沖縄県)への移設が進められています。この判断は正しいのでしょうか、それとも別の基地の移設が必要なのでしょうか。
【日本の安全保障の今後】
日本の安全保障に関しては、モデルケースを1つ考えます。
[モデルケース検討]
日本、A、Bという3つの国があるとします。また、日本とAが同盟関係だとします。
この状況で、もしBがAに攻撃したら、AがBに反撃することが予想されます。(AはやられたからBにやり返しているという状況です。)
そこで、BがAに攻撃した時に、AがBに反撃するのと一緒に「Aと同盟関係を結んでいる」という理由で日本もBに攻撃するとします。(ただし、日本はBからの攻撃を受けていません。)
このような、「自分は攻撃されていないけど、仲間が攻撃されたから仕返しを行う」という日本のBへの行動は憲法9条違反にあたるでしょうか。
このようなモデルケースを考えると、日本の行動は戦力としてBに戦争をしかけているようにも見えますが、現状はこのような日本の行動が合憲とされています。なぜでしょうか。
それは、日本が集団的自衛権を認めているからです。同盟関係にある国が攻撃されたときに自分も攻撃する権利を集団的自衛権と言います。
一部の人達は「集団的自衛権は憲法9条に違反するのでは?」という疑問を抱くかもしれませんが、現状の日本は「集団的自衛権は自衛権の範囲を超えず、実力で阻止しているため、戦力にあたらない」と解釈しています。
ちなみに、戦後の日本は「集団的自衛権は自衛権の範囲を超えた戦力である」として憲法9条に違反するという立場から集団的自衛権を認めてきませんでした。つまり、現状の日本は昔から考えられてきた憲法の解釈を変えることで合憲扱いにしています。(これを解釈改憲と呼びます。)
世界全体でいろいろと起きている昨今で、日本の平和を維持するベストの方法はなんでしょうか。