【少子高齢化とはなにか?/少子高齢化の現状】
少子高齢化は、名称の通り「子どもが少なくなり、社会全体の人口の高齢化が進むこと」を指します。
65歳以上を高齢者として、国全体の総人口における65歳以上人口の割合を高齢化率と呼びますが、高齢化率は増加の一途をたどっており、日本では4人に1人から3人に1人の割合で65歳以上人口となってしまいました。(日本の高齢化率の上昇は、他国と比較しても速いと言われています。)
一方で、出生数は減少傾向にあり、日本は人口減少が特に顕著です。この傾向が続くと、2050年には総人口が1億人を下回ると予測されていますが、現状を考えると、人口減少の速度も急激になり、総人口が1億人を下回るタイミングも早まることも予測されています。
【少子高齢化によってなにが起こるのか】
少子化が進むことで考えられる影響の1つに、実際に働いてお金を稼ぐ労働力人口が減少するということがあります。
お金を稼ぐ人が減少するということは、経済活動が停滞し、税収が減少することにもつながります。
この状況が続くと、国全体が活力を失い、さらに経済活動が停滞して税収が減少するという悪循環に陥ってしまいます。
また、高齢化が進むことで、医療や介護を中心とした社会保障の充実が必要となりますが、労働力人口や税収の減少によって、社会保障を十分に提供できない可能性も考えられます。
さらに、これらの少子高齢化に伴う様々な傾向は、今後も加速度的に進行していくと考えられています。
【少子高齢化は何が問題なのか】
少子高齢化の本質的な問題は、少子高齢化の進行に社会が対応しきれていない点にあります。
例えば、技術革新や自動化の進展などで減少した労働力人口を補うことができればよいのかもしれませんが、現状はそうなっていません。
また、高齢者が増えても社会保障を充実させることができれば問題ありませんが、現状のまま少子高齢化が加速していくと、社会保障の維持も難しくなることが考えられます。
現行の社会保障の仕組みでは、現役世代が高齢者を支える仕組みとなっていますが、高齢者の割合が増加し、現役世代が減少することで、このバランスが崩れつつあります。
実際に、現役世代1人あたりの負担が増えると同時に、高齢者1人あたりの社会保障も不十分になってしまう可能性が出てきています。
【なぜ少子高齢化が進行してしまうのか(少子高齢化の原因)】
少子高齢化の原因は、少子化と高齢化のそれぞれで考える必要があります。
まず、高齢化の原因は「平均寿命の延び」です。高齢者の平均寿命が延びることで、当然ですが高齢者の人口増加につながります。
ただし、背景には医療技術の進歩や生活水準の向上があるため、そう考えると、高齢化の進行はある意味で幸せなことなのかもしれません。
また、少子化の原因は「合計特殊出生率の低下」です。1人あたりの女性が一生のうちに出産する子どもの人数の平均を合計特殊出生率と言いますが、この数字が低下していることが原因として考えられます。ちなみに、合計特殊出生率は約2.1で人口を維持できると言われていますが、現状は2023年で1.20となっており、人口減少が著しくなっています。
晩婚化や非婚化(女性の社会進出や価値観の多様化)、経済的な不安定さ(収入の少なさや教育費の高さ)、子育て環境の未整備(待機児童問題など)といったものがあげられます。
これらの要因が複合的に絡み合い、少子高齢化が進行していると言われています。
【少子高齢化の対策例】
少子高齢化はこれからも進行していくことが予想されます。そのため、あらゆる角度から対策していくことが求められます。
少子化対策としては、子育て支援の充実が検討できます。
具体的には、保育所や学童保育の充実による子育てと仕事を両立しやすい環境の整備、子育てに関する諸手当の支給といった社会保障の充実などが考えられます。多くの人々が結婚や出産に前向きになることができるよう、これら様々な子育て支援政策の充実が必要になります。
また、労働力人口の確保という視点では、技術革新や自動化などによる効率化と生産性の向上に加え、近年注目されているリスキリング(再教育)制度の導入などによる高齢者世代の再雇用の支援などが考えられます。さらに、労働力人口の確保だけを考えれば、外国人労働者の受け入れ拡大という方法も検討できるでしょう。(外国人労働者の受け入れについては、それに関する法整備や、治安・異文化交流の問題など、様々な視点の検討が必要ではありますが。)
高齢化の進行に伴う社会保障の問題については、高齢者の社会参加が考えられます。特に、高齢者の就労促進を行なうことで、高齢者自身が一定の収入を確保しつつ、社会全体の負担を軽減できるというメリットが生まれます。
なお、ビジネスの側面で考えれば、高齢者の増加に伴ってシルバー産業と呼ばれる高齢者向けの市場が拡大していることを考えると、高齢化の進行は新たなビジネスチャンスや雇用の創出が期待できるというポジティブな見方もできます。
併せて、介護や医療の負担を軽減するために、地域包括ケアシステム(住まい・介護・医療などを一体的に考えて提供できる地域のシステムのあり方)を推進するなど、在宅医療や地域密着型サービスを充実させることも検討できます。
これら様々な要素を考慮することで、高齢者の老後の生きがいの発見、地域コミュニティの活性化や世代間の交流の促進などといった副次的な効果も想定できます。
そして、社会全体が少子化と高齢化の両方に目を向けて具体的な対策を実施していくことで、少子高齢化の解決へ近づくことを目指せると考えられます。
【まとめ(内容の要約・ポイント)】
少子高齢化とは、子どもの数が減少し高齢者の割合が増加する現象であり、日本ではこの傾向が急速に進んでいます。出生数の減少と平均寿命の延びが主な原因で、労働力人口の減少や税収の減少、社会保障の負担増といった問題が深刻化しています。現行の制度では現役世代が高齢者を支える仕組みであるため、人口構成の変化によりバランスが崩れつつあります。対策としては、子育て支援の充実、高齢者の就労促進、外国人労働者の受け入れ、地域包括ケアの推進などがあり、高齢化を新たなビジネス機会と捉える視点も重要です。社会全体で複合的かつ実効性ある対策を講じていくことが求められています。
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