人と人は、なぜケンカしてしまうのでしょうか。
友人や恋人など、どんなに仲の良い関係でもケンカすることはあるでしょう。
なぜ、そのような関係だとしてもケンカをしてしまうのでしょうか。
原因はいろいろと考えられますが、利害関係の不一致、価値観の違いなど、原因を並べるとキリがありません。
では、これを前提に「人」という主語を「国」に変えて考えてみましょう。
国と国は、なぜケンカをしてしまうのでしょうか。
ケンカが無い状態を「平和」と呼びます。平和は一度崩れたら終わりで、平和の状態に戻すのは非常に難しいので、常に平和は維持し続けたいものなのですが、世界全体は完全な平和を実現できていない状況にあります。(現在もあらゆる地域で大小様々な国どうしのケンカが発生していますが、国どうしのケンカを戦争と呼ぶことがあります。)
国と国がケンカしないよう、どんなことを考える必要があるのでしょうか。
【主権国家体制とは】
そもそも、「国際」とはなんでしょうか。
国際とは、「国と国との関係」をあらわす言葉です。ちなみに、世界という言葉もありますが、これは「世界全体」のようなニュアンスだと思って下さい。
つまり、国際は国が前提なので、「国について」確認する必要があります。
ちなみに、現在の国は主権国家体制と呼ばれる仕組みが前提となっています。
(成立の要因はドイツ三十年戦争後のウエストファリア条約、増大の要因はナショナリズムの高揚です。第二次世界大戦後に植民地が独立した際、自民族に誇りを持つようになりました。この誇りがナショナリズムです。)
また、主権国家とは、他に従属せず、独立した政治が行われている国家ということになっていますが、単純に人々が想像する国と思ってください。
では、「国家」とはなんでしょうか。
国家を形成する3つの要素を国家の三要素と呼び、イエリネックという人が提唱しました。三要素は領域・国民・主権です。そして、領域は領土・領海・領空が範囲ですね。
ちなみに、領域は国連海洋法条約で12海里と定められ、排他的経済水域は200海里と定められていますが、公海(排他的経済水域の外側)は、公海自由の原則があります。
さらに、大陸棚(水深200m)は沿岸国の主権として扱われます。
そして、宇宙条約と南極条約で、宇宙と南極は誰も主権を持たないことになっています。
また、主権を構成する3つの要素を主権の三要素と呼び、主権論の祖であるボーダンという人が提唱しました。
そもそも、主権とはなんでしょうか。
主権とは文字通り、その国を中心(主体)となってコントロールする権利を指します。
では、国をコントロールするためには、国にどのような権利が与えられていればいいのでしょうか。
1つは、根本的に「国をコントロールしてよいですよ」という権利です。
これを統治権と言います。
また、国をコントロールするためには、最終的に判断することができる権利が必要です。
国の政治を最終的に判断する権利を最高意思決定権と言います。
そして、他の国から干渉されずに自分たちで国をコントロールすることが必要です。
これを国家権力の対外独立性と言います。
これら、統治権・最高意思決定権・対外独立性の3つを国家の三要素と呼びます。
これだけ領域が明確であり、主権も分かっている状況なのに、なぜ主権国家はケンカしてしまうのでしょうか。
その理由は、政治、経済、文化など様々です。
一般的に、人と人がケンカした場合、そのケンカを止めることになるでしょう。しかし、そのケンカが発生する前になにかしらの方法でケンカを予防することもできたでしょう。
そのため、国と国も政治・経済・文化など様々な理由でケンカをした場合に、ケンカの解決方法を「①未然に防ぐ視点」/「②実際のケンカを止める視点」の2つから考える必要があります。
では、ケンカはどうやって解決するのでしょうか。
解決方法の例として代表的なのが、各国が海外と交渉(話し合い)することです。これを外交と言います。
ちなみに、外交は二国間(当事者同士)と多国間(三カ国以上)の2種類に分かれると思って下さい。
ところが、話し合いで解決しているのであれば、すでに平和は維持できているはずです。でも、実際は紛争や戦争が止まりません。現在の世界でも戦争や紛争は見られています。
そこで、ケンカを止めるのではなく、未然に防ぐという視点が必要になります。具体的には世界全体で平和へ向けたルールやしくみを構築していくことが考えられます。
現在考えられているルールを国際法と呼び、しくみを集団安全保障と呼びます。
【国際法について】
国際法とは、国家間の関係を律する法です。『戦争と平和の法』という著書で有名なグロティウスという人が提唱しました。
また、国際法は、条約と慣習国際法の大きく2つに分類されます。
この2つの違いは「明文化されているかどうか」です。
明文化されていれば条約、明文化されていなければ慣習国際法、ということになります。
では、ケンカを未然に防ぐルールを作るとしたら、どのようなルールがよいのでしょうか。
様々なルールが考えられ、そのルールのおかげで平和がもたらされるという可能性もあるでしょう。
ところが、いくら良いルールを作っても、実は国際法というルールは完全にうまくは機能しません。
まず、国際法は誰が作っているのでしょうか。
現状、国際法をつくる機関は存在しません。つまり、各国家の意思によって作られているのです。
また、ルールを破ったからといって、その国が警察に捕まる、というようなことは起きません。
つまり、実質的な強制力が弱いのです。
統一的な立法機関がなく、実質的な強制力が弱いので、ルールを作ってもうまく機能していないのです。
そこで、今度はルールだけではなく、しくみに注目することになりました。
【勢力均衡と集団安全保障】
以下のケースで、どうすれば平和を保つことができるのでしょうか。
A~Fの6カ国がいて、AとBの仲が悪くにらみあっている。また、C~Fはどの国とも交流関係を持っていない。
このままでいくと、AとBが大きなケンカに発展してしまうことが予想されます。
そこで、AはCと仲良くなろうとします。そうすると、ACvsBで2対1になるので、BはAに攻撃してこないだろうと考えます。
ところが、BもDと仲良くなろうとすることで、ACvsBDの2対2になり、AとBの力の釣り合いが取れるだろうと考えます。このようなしくみを勢力均衡と呼びます。つまり、お互いの力が釣り合うことで軍事行動が回避されるだろう、というしくみです。
しかし、勢力均衡のためにはお互いに相手に負けない力を獲得しようと考えます。すると、AはEとも仲良くなり、BはFとも仲良くなろうとすると、ACEvsBDFの3対3になります。このような状況になり、3対3の構図を中心に拡大した戦争を第一次世界大戦と言います。つまり、勢力均衡のしくみでは、第一次世界大戦が防げませんでした。
そこで、別の方法を考えることにしました。
もし、AまたはBのどちらかが攻撃をした場合、残りのC~Fの全員でAまたはBを攻撃すると考えれば、誰も攻撃できなくなるだろう、という方法です。
つまり、参加国が集団で共通の敵に対応するという方法が考えられました。
この考え方を集団安全保障と言います。そして、集団安全保障を具現化した組織を国際連盟と呼びます。
しかし、現在世界にある組織は国際連盟ではなく国際連合と呼ばれます。
つまり、集団安全保障を具体化した国際連盟では第二次世界大戦を防ぐことができなかったために、国際連盟から国際連合に変わってしまったわけです。
では、国際連盟はどうすればよかったのでしょうか。