人生の三大出費はなんでしょうか。
一般的に、人生で大きな出費とされるのが「①住宅/②教育/③老後」の3つだと言われます。
ちなみに、住宅は約4000万円、教育は(子供の人数にもよりますが)約2000万円、老後は約2000万円と言われています。結婚して子供と一緒に過ごして一生を終えると考えると、単純に約8000万円は必要になるわけです。でも、そんなお金は簡単に準備できません。
では、仮に三大出費の合計を約8000万円とすると、8000万円は、どうやって集めればよいのでしょうか。
そんな、お金を集める際に必要な考え方の1つを金融と呼びます。
ここでは、お金を「貯める」よりも、「必要な人に、必要なタイミングでお金が回る仕組み」である金融に目を向けます。
金融が分かると、入試で頻出の
・自己資本/他人資本の違い
・直接金融/間接金融の違い
・金融市場における金利のしくみ
・短期/長期金融市場の特徴
が、バラバラ暗記ではなく“一連の流れ”として理解できるようになります。
【金融とはなにか】(定義と2種類の資本の確認)
金融の定義
金融とは「資金を融通する」ことです。お金が余っているところから足りないところへ資金を融通するのが金融ですね。
ちなみに、金融の担い手は銀行、証券会社、保険会社などの金融機関です。つまり、金融機関の活用が人生で困ったときの資金の調達につながるということです。
資本の2種類(自己資本=返済なし/他人資本=返済あり)
なお、金融を考える際は「自己資本」と「他人資本」という考え方が出てきます。
資本とは「なにかをするのに必要となる元手のお金のこと」だと思ってください。
もちろん、元手のお金は自分で準備できればいいのですが、全て自分で準備することができない場合も多くあります。
そこで、自分だけでは準備できない場合に他人にお金を用意してもらって、資本を準備することが考えられます。
ただし、他人に用意してもらった場合は当然ながら他人に返さないといけません。
つまり、自己資本は返済しないお金のこと、他人資本は返済するお金のこと、だと思っていてください。
では、企業の場合は、どのように資金調達をするのでしょうか。個人と違って金融の金額がとてつもなく大きくなるのですが。
【金融の視点①:外部からの資金調達の2ルート】(直接金融と間接金融)
会社が大量のお金を集めようとするときは、「誰から集めるか」と「そのお金を返す必要があるか」という2つに注目する必要があります。
「誰から集めるか」の視点:直接金融と間接金融の違い
まず、「誰から集めるか」については、直接金融と間接金融という2つの方法を考えます。
直接金融とは、企業が株式や社債を発行してお金を集めることです。要は、お金を受け取る企業とお金を渡す人の間に誰も入らない金融を直接金融と呼びます。ただし、株式や社債を個人がそれぞれ購入しても大きなお金を一気に集めることが難しいです。
そこで、銀行が預金という形でたくさんのお金を集めて、そのお金を一気に企業に貸すことで、効率よく多くのお金の金融が実現できるようになります。このように、お金を受け取る人とお金を渡す人の間に銀行などの金融機関が入ることを間接金融と呼びます。間に入るのは銀行が多いですが、金融機関は全て間接金融を行う可能性があります。
では、なぜ、銀行は企業にお金を貸してくれるのでしょうか。お金を貸すことに意味はあるのでしょうか。
〈※参考:「返済」に注目した資金調達と、4パターンの分類〉
返済しない場合は自分のものとなるため、返済しないお金を自己資本と呼びます。
一方、返済するお金は、本来そのお金は他人のもののはずなので、返済するお金を他人資本と呼びます。また、「誰から集めるか」と「そのお金を返す必要があるか」という2つに注目すると、外部からの資金調達のパターンは以下の4つに分類することができます。直接金融で自己資本になるパターンは株式、
直接金融で他人資本になるパターンは自社の債権
間接金融で他人資本になるパターンは銀行などからの借入
となります。
なお、間接金融で自己資本になるパターンはありません。
【金融の視点②:金融市場と金利】(借りたお金にもレンタル料がある)
金融市場 = 金利(お金のレンタル料)を決める場所
お金を借りたら、当然お金を返すことになります。ただし、世の中では借りたお金を返す時に少し多めにお金を返すということをします。100万円を借りたら105万円で返す、というような形ですね。
この場合、100万円を5%多くして返しています。このお金を多く返す割合のことを金利と呼びます。そして、金利を決定するのが金融市場と呼ばれます。
金利はどのように決まるのか(企業・家計/銀行の立場から考える)
ちなみに、金利はお金を借りる企業や家計の立場から考えると低いほうが良いですね。返すお金が少なくてすむので。
一方でお金を貸す側の銀行は金利が高いほうがいいですね。仮に100万円を貸して金利3%として103万円で返してもらえたら銀行は3万円の儲けですが、同じ100万円を貸して金利5%として105万円で返してもらえたら銀行は5万円の儲けになります。つまり、銀行は金利が高い方が儲かるわけです。ここから銀行が企業や家計にお金を貸す理由は金利による儲けと言うことが分かります。
逆に、企業や家計の立場で考えると、企業や家計は100万円を金利3%として銀行から借りて103万円で返した場合は、3万円多く返しているので企業や家計にとっては3万円の損失になりますが、同じ100万円を金利5%として銀行から借りて105万円で返した場合は、5万円多く返すことになるので企業や家計にとっては5万円の損失になります。企業や家計はできる限り損失を減らしたいため、金利が低いほうがたくさん借りたいと思うようになりやすいわけです。
借りる側=金利が低いほど得 / 貸す側=金利が高いほど得 の納得点を探す
ここから考えられることは、金融の世界では企業や家計は金利が低いほうがお金が借りやすくなっていいですが、銀行は儲けるためになるべく金利を高くしたいという前提があるということです。
この前提を考えると、お互いの立場が納得できる金利の設定が必要になります。この金利を決定するのが金融市場です。
だとすると、銀行はより多くの金額を高い金利で借りてもらおうと考えますが、他の銀行に自分達の銀行より低い金利を設定されたら自分達の銀行からお金を借りてもらえません。
では、銀行は、金利が高くても借りてもらえるように、どのような工夫をするのでしょうか。
その工夫の1つが「期間」への注目です。
金融を「期間」で分ける考え方(短期金融市場と長期金融市場)
金融の世界では、1年以上の金融を長期金融市場と呼び、1年未満の金融を短期金融市場と呼びます。
長期の例は証券市場(株式)など、短期の例はコール市場などです。
つまり、長い期間お金を借りていてもOKという付加価値をつけて、金利を高くする工夫が方法の1つとして考えられるわけですね。
(※ちなみに、コール市場とはコール(call)するくらいすぐに反応する市場という金融の世界の用語です。)
※参考:金融の基本のまとめ
○金融 = 資金を融通すること(余っている所→足りない所へお金を回す)
○金融機関 = 銀行・証券会社・保険会社など(金融を実際に回す担い手)
○資本 = 元手のお金
○自己資本 = 返済しないお金
○他人資本 = 返済するお金
○直接金融 = 企業が株式・社債を発行してお金を集める(企業と投資家の間に仲介が入らない)
○間接金融 = 銀行などが仲介してお金を貸す(企業と資金提供者の間に金融機関が入る)
○資金調達は「誰から集めるか(直接/間接)」と「返す必要があるか(自己/他人)」で整理できる。
・直接金融×自己資本 = 株式
・直接金融×他人資本 = 社債
・間接金融×他人資本 = 銀行借入
・間接金融×自己資本 = 基本なし
○金利 = 借りたお金を返すときの“上乗せ率”(例:100万円→105万円=5%)
○借りる側(企業・家計)は「低金利が得」
○貸す側(銀行)は「高金利が得」(貸す側が儲かる)
○金融市場 = この利害がぶつかる中で金利が決まる場所
○短期金融市場 = 1年未満(例:短期=コール市場)
○長期金融市場 = 1年以上(例:長期=証券市場)