4-8. 株式会社はどのように成長して株主と関わっているのか(現代の企業について)

【企業の種類】

2023年の稼いでいる日本の企業ランキングのベスト3は、なんでしょうか。

 

1位はトヨタで約2兆4513億円、2位はNTTで約1兆2131億円、3位は三菱商事で約1兆1806億円となっています。
これらの企業は全て株式会社という種類に入りますが、そもそも企業には非常に多くの種類があります。

 

企業の種類については、大きく3つとらえましょう。私企業公企業公私合同企業の3つです。

私企業は、利潤追求が目的で、会社法という法律にもとづいて株式会社/合名会社/合資会社/合同会社の4種類に区分されます。(以前は有限会社もありましたが、会社法の改正によって有限会社の新規設立が不可となりました。

では、私企業に分類される会社はどのような違いがあるのでしょうか。

ポイントは「無限責任なのか、有限責任なのか」という違いです。会社の借金に対する責任が無限にある場合を無限責任、会社の借金の責任に限りが有る場合を有限責任と呼びます。

会社の設立において、無限責任社員2名以上を用意する必要がある会社を合名会社と呼びます。

また、有限責任社員1名以上と無限責任社員1名以上がそれぞれ必要な場合の会社を合資会社と呼びます。

さらに、有限責任社員のみの会社を株式会社または有限会社と言います。有限会社は小さな株式会社だと思ってください。ただし、近年は最低資本金制度が撤廃されたこともあり、有限会社と株式会社の区別がつきにくくなってきたことから、現在有限会社は設立できなくなっています。

そして、近年の新たな企業形態として合同会社も登場しました。合同会社は株式会社と違って所有と経営の分離が発生していないという特徴があります。

 

公企業は、水道などの地方公営企業と呼ばれる、生活に必要とされるモノを販売している企業が該当します。

 

公私合同企業は、NHK、NTTなど、公的側面と私的側面が合同しているので公私合同企業と呼ばれます。

 

ここでは、企業の種類でも最も有名な株式会社について分析します。

 

【株式会社とは】

企業が商品開発をしたり、利潤を増やしたりするためには、当然ですが事業を行っていくためのお金が必要です。

 

では、企業が必要とするお金は、どうやって集めるのでしょうか。

 

多くの企業は、多額のお金を集めるために「株式会社」という制度を用いますが、そもそも「株式」とはなんなのでしょうか。

株式」とは、その企業が事業を運営するために必要となる資金を集めるために販売するもので、株式を買ってもらうことで会社にお金が入り、そのお金を事業に回すことができます。

ちなみに、株式を購入した人(その企業に出資した人)を株主と呼びます。

 

では、株主は、なぜ出資してくれるのでしょうか。

 

それは、株主にいくつものメリットがあるからだとされます。

 

【株主のメリット・デメリット】

株主のメリットについて、大きく4つメリットを確認します。

1つめは「有限責任でOK」という点です。
例えば、1億円を借金しているA社という企業があり、BさんがA社に出資しているとしましょう。この企業が仮に倒産した場合、借金はどうなるのでしょうか。

答えが「出資しているBさんが全て代わりに借金を払う」ということであれば、Bさんは絶対に出資をしないでしょう。そこで、現在は「出資しているBさんは借金を代わりに払わなくて良い」ということにしています。このように、株主に会社の責任の限りが有る状態有限責任と呼びます。
逆に、「出資しているBさんが全て代わりに借金を払う」というように、株主に会社の責任の限りが無い状態無限責任と呼びます。有限責任でOKだからこそ、株主は安心して出資することができます。
(合名会社は無限責任の人を2人、合資会社は無限責任の人を1人用意する必要があります。)

 

2つめは配当を受ける権利」を持っているという点です。
株主は、株式を持っているだけで、その企業が儲けた場合に、その儲けの一部を配当として受け取ることができます。そのため、多くの人は株式の購入によって配当を得ることによる儲けを狙うわけです。(一部の企業は赤字でも株主のための配当を出すこともあり得ます。)
なお、配当のことを経済の世界ではインカムゲインと呼びます。

 

3つめは「購入時より高値で売る」ことでトクするという点です。
株式の価格(=株価)は常に変動しています。需要が高まれば価格が上がり、需要が下がれば価格も下がるという話です。そのため、購入時より株価が高い状態で売れば、その分儲かることが想像できます。逆に、購入時より安値で売ってしまう可能性もあります。この場合は、当然ですがソンします。
なお、購入時より高値で売ってトクした金額をキャピタルゲイン、購入時より安値で売ってソンした金額をキャピタルロスと呼びます。

 

4つめは「株主総会での議決権」です。
1つ、以下の例を考えましょう。

A~Cの3人がいて、アさんとイさんのどちらを社長にするか考えています。この企業は1000株発行していて、Aさんは10株、Bさんは480株、Cさんは510株持っています。これらの情報を前提にAさんとBさんがアさんを、Cさんがイさんを選んだとき、この企業の社長はイさんとなるのですが、なぜでしょう。

普通であれば、A・BvsCの2票対1票でアさんが採用されるはずですが、先ほどの例でいくと、Cさんが採用されることになりました。
ここで理解したいのは、株主総会の最大のポイントは「1株=1票である」という点です。つまり、A・Bの2人が持つ株数(490株)よりもC1人が持つ株数(510株)のほうが多いため、Cの意見が採用されることになります。ということは、その企業の株を1人で51%以上保有すると、その人1人が株主総会で全ての意見を通すことが可能になります。
もう少し荒っぽく言うと、その会社の株を51%以上買うと、会社はその株主のものになります。
そのため、実際のところ企業は経営している社長のものではなく、意見を言って会社にコミットできる株主のものだと言われています。

ただし、現在は所有と経営の分離も言われています。もし51%以上の株を保有しているのであれば、株主である自分が社長になってもいいはずです。ところが、社長にならずに株主は経営者に経営を任せてしまうのが一般的です。つまり、株主≠経営者となるわけです。(株主はあくまでも出資しているだけなので、経営はプロである経営者に任せた方が企業が上手く回るだろうと考えるのが一般的です。)このように株主と経営者が別々の状態である様子を「所有と経営の分離」と呼びます。

このように株主には、有限責任/配当受け取り/購入時より高値で売る/株主総会の議決権という4つのメリットを持ち合わせます。
これらを実現するためには、企業自体が利潤を増やしていくために努力するのが大切だというわけです。

 

ただし、企業は単純な利潤追求以外にも2つの顔を持ち合わせます。
1つは「他者との協力で稼ぐお金を増やそう」という顔、もう1つは「儲ける以外で社会に貢献しよう」という顔です。

 

【近年の企業の動き:他社との協力で稼ぐお金を増やす視点】

企業の顔の1つは、「他者との協力」です。例を確認しましょう。

例えば、あるビジネスを行う際、1つの企業が単独で頑張るよりも別の企業と協力したほうがより儲かるかもしれません。
そこで、Aという企業とBという企業が手をつないで協定を結ぶとします。この協定のことをカルテルと呼びます。

また、協定だけでは足りないとして、AとBが合併して新しいCという企業を誕生させることもあります。このような合併のことをトラストと呼びます。
ただし、トラストは同業種限定です。異業種の合併の場合をコングロマリットと呼びます。

さらに、AとBが合併するときに、どちらかの企業の力が強すぎて、もう一方を飲み込んでしまうことがあります。(AとBが合併して結局力の強いAが誕生する、というような状態です。)この状態をM&A(買収)または吸収合併と呼びます。

そして、企業がさらに大きくなると自分の企業を中心に複数の企業を自分達の下に置いてコントロールするということが考えられます。
このように、親会社が複数の子会社の株を買って、大きくしていった状態コンツェルン(持株会社)と呼びます。なお、持株会社が海外展開したもの多国籍企業と呼びます。

 

ちなみに、2024年現在のルールとしてカルテルは禁止されています。協定を結ぶと市場メカニズムが上手く機能せず、消費者が不利益を被る可能性があるからです。
また、トラストとコンツェルンは禁止まで行かなくても制限がかかっています。

 

【企業の社会的責任(CSR):儲ける以外で社会に貢献する視点】

企業のもう1つの顔である「儲ける以外で社会に貢献する」考え方を企業の社会的責任(CSR)と呼びます。
もう少し簡単に言うと、企業が社会的責任を果たすことで、より健全な経営を実現していこうという発想です。

社会的責任の例としては、
コンプライアンス(法令遵守)
ディスクロージャー(情報公開)
コーポレートガバナンス(企業統治:社外の人達による企業経営の監視)
メセナ(企業の文化的な活動)
フィランソロピー(企業の慈善活動)
アカウンタビリティ(説明責任)
など、様々な例があげられます。

 

企業は、このようにいろいろな顔を持ち合わせていますが、この激動の世の中で今後の企業はどのような方向へ向かっていくのがよいのでしょうか。

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