「青年期」について

「青年期」とは

青年期とは、高校生前後の発達過程のことを指します。(広く捉えると30歳くらいまで青年期が続く人もいます。)そもそも、「発達」=機能の伸びを指す言葉なので、高校生前後で様々な機能の伸びの見られる時期が青年期です。

また、発達は身体的、精神的、社会的と大きく3つ考えられます。3つの視点から捉えると、高校生に見られる発達がいろいろと想像できそうです。

例えば、身体的発達の1つとして、身体に男らしさ、女らしさが出てきます。(これを第二次性徴と言います。)また、精神的発達の1つとして、自我が芽生えます。一般的に身体的発達よりも精神的発達のほうが遅いので、ココロがカラダに追いつかずイライラすることがあります。このイライラの時期を思春期と呼びます。このイライラの時期を乗り越えてココロとカラダが一致する状態を「自我のめざめ」と呼びます。そのため、思春期は青年期の前期を指します。

また、社会的発達として、自分なりの人生観や世界観の創出なども見られます。例えば、

 

“「ロマンチックとは(   )である」という文章の空欄になにを入れますか?”

 

その空欄で出てくるあなたらしさが自分なりの世界観を表しているかもしれません。

 

【「青年期」の出現】

人は、子供→青年期→大人というように、青年期を経て子供から大人になります。では、

どうすれば子供から大人になることができるのでしょうか。

昔は、通過儀礼イニシエーション)を経て大人になるとされました。通過儀礼は「人生の節目にある儀式」という意味です。成人式や七五三などが通過儀礼にあたります。ただし、成人式に参加したらその瞬間から子供から大人に切り替わるのでしょうか。そもそも成人式に参加しなかった人はどうなるのでしょうか。このような問いに答えることは難しいものです。

そこで、現在は子供から大人になるのに一定の学習期間(準備期間)があると考えられています。この準備期間のことを青年期と呼びます。

 

 

【青年期のとらえ方①】

〔青年期を一言で言い換えると?〕と言われたらなんと答えるでしょうか。

この質問に多くの人が答えています。

エリクソンという人は、青年期は様々な経験などを積みながら「大人になるための猶予期間」であると考えました。この猶予期間を「心理・社会的モラトリアム」と表現しました。

また、ルソーという人は『エミール』という本で、「第二の誕生」という言葉を残しました。第一の誕生はこの世に生まれたという意味での誕生、第二の誕生は自分自身の中で自我が芽生えたという意味での誕生を指します。つまり、青年期は第二の誕生を経たことで大人になると捉えられます。

 

 

【青年期のとらえ方②】

最近、周囲の人に否定的になった経験はありますか?

直近を振り返ってもたくさんあるかもしれません。友人や家族にあたってしまったことも1度や2度ではないと思います。では、その周囲の人にはいつから否定的になっていたのでしょうか。そして、どんな内容で否定的になっていたのでしょうか。

ビューラーという人は、反抗期は児童期と青年期の2回来ることから、青年期に見られる反抗期を「第二反抗期」と名付けました。

また、ホリングワースという人は、人間は生後1年前後で見られる「生理的離乳」に対して、青年期に親から精神的に独立する様子を「心理的離乳」と名付けました。

 

 

【青年期のとらえ方③】

子供と大人の区別はやはり難しいものです。そこで、

もし子供と大人の割合を%で表すとどうでしょうか。そしてそれはなぜでしょうか。

例えば、あなたは何%大人で、何%子供ですか。青年期の人達は何%大人で、何%子供ですか。この質問に答えることは難しいですが、「100%子供」や「100%大人」というように青年期は言いづらいように思います。この、子供と大人の境界にいる状態をレヴィンという人は「マージナルマン境界人)」と表現しました。

 

 

このように、青年期は多面的にとらえることができますが、青年期は人々の人生にとってどのような意味があるのでしょうか。

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